松姫峠から奈良倉山 (2017.11.26) |
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☆期日/天気/山行形式: 2017年11月26日(晴) 登山バス利用単独ミニハイク ☆地形図(2万5千分1): 七保(甲府2号-2)、丹波(甲府2号-1) ☆まえがき 7月にツレが転んで腰椎を傷めたあと、しばらく山から遠ざかっていました。 ようやく回復が軌道に乗って時間の余裕が得られるようになったのでそろそろ山行を再開しょうと思いましたが、長い間、山から遠ざかっていた老体がどくらい山坂を歩く力を残しているのか分かりません。 取り敢えずごく軽い山行をして身体の様子を見ようと、松姫峠から奈良倉山への往復、と言う極小山行プランを立ててみました。 奈良倉山は十年あまり前に何度か登っている山です。 森が綺麗で富士山の眺めが良いのが記憶に残っていますが、アプローチが不便な上にルートの一部が藪に覆われていて、なかなか苦労しました。 山の南裾を流れている葛野川で行われたダム建設に伴って道路が整備されたお蔭で、週末・祝祭日には上野原から鶴峠、小菅を回って松姫峠まで行く登山バスが運行されるようになり、労せずして頂上まで1時間半あまりの峠まで行けるようになりました。 |
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松姫峠の展望説明 (画像をクリックすると拡大スクロール) |
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☆行動時間 宮崎台[6:14]=(東急線)=[6:18]鷺沼[6:20]=[6:31]長津田[6:41]=(JR横浜線)=[7:13]八王子[7:13+2]=[7:21+2]高尾[7:26]=(中央線小淵沢行)=[7:54]上野原[8:30]=(富士急山梨交通バス)=[10:15-6]松姫峠(10:17)-巻道分岐(10:21)-巻道出合(10:39)-頂上入口(10:50)-奈良倉山(11:01/22)-(12:06)松姫峠[13:15+2]=(富士急山梨交通バス)=[13:40-1]小菅の湯[14:41+2]=(富士急山梨交通バス)=[15:29]猿橋(15:40)-(16:01)猿橋駅[16:17]=(東京行快速)=[17:04]八王子[17:10]=[17:36]長津田[17:42]=(東急線)=[17:53]鷺沼[17:55]=[17:58]宮崎台 ☆ルートの概況 久しぶりに行った上野原駅は、狭苦しい駅前広場に大勢のハイカーが詰めかけ、大混雑になっていたのでびっくりしました。 近在の山々に整備した中高年向きハイキングコースが人気を呼び、週末には大勢のハイカーが集まるようになっているようです。 バス乗場に慣れた感じの案内係がいて行き先別のバスの待ち行列へ誘導していました。 "松姫峠" と行き先を言ったら手書きガイドマップのコピーを渡してくれ、あちらの列に並んで下さいと言われました。 線路を見下ろす道に延びている長い行列の尻尾につきましたが、ひとつ前の鶴峠・小菅行きの便に全員乗って行き、残された行列の先頭になりました。 定刻に出たバスは上野原の町を出外れたあと鶴川谷に入り、用竹から棡原へ、懐かしい景色の中を走ってゆきました。 出発したときは何人かが通路に立つほどの混雑になりましたが、途中にあるハイキングコース入口で次々に降りてゆき、空席が目立つようになりました。 車中に残った人達もあらかた鶴峠で降りてしまい、松姫峠まで乗り続けたのは5人だけとなりました。 |
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上野原駅から1時間45分かかって到着した松姫峠はこの十数年の間に大きく様変わりし、左の写真のように舗装路が通っている長さ100m ほどの平坦地になっていました。 道路の縁に駐車スペース、公衆便所などがあり、展望説明板が立っていました。 駐車スペースの奥の柵の脇に寄るとページ冒頭のパノラマ写真のような景色が見えました。 右奥の大菩薩嶺から小金沢への山並み。 左の端近くの牛奥ノ雁ヶ腹摺山と大峰の先に富士山が頭を出しています。 |
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久しぶりにピリッとした山の冷気を吸いながらあたりを歩き回ったあと道路の左脇に立つ道標から奈良倉山登頂ルートに入りました。 歩きだすとまもなく下のパノラマ写真のように、左横の自然林の先に奥多摩の山並みが見えました。 |
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左手に奥多摩を見ながら進む (画像をクリックすると拡大) |
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奈良倉山への尾根はゆったりなだらかで、小型の四駆車が走れるくらいの幅の道が通っています。 |
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高みを巻いてゆく道から分かれて左の笹原に入ってゆく踏み跡があったのでそちらに進入。 |
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僅か登って広く平らな頂に上がると東京都水源林の白杭が立っていました。 |
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平頂の先で回り登ってきた車道と出合うとその少し先に赤白2トーンの道標が立っていて奈良倉山頂上へ向かう歩道が分岐していました。 峠からここに来るまで、要所に道標が立っているのは昔と様変わりで、地図読みと藪潜りができなければ立ち入れなかった山が、今では地図を持っていなくても迷わずに歩けるようになっています。 |
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尾根の背に乗ると、檜林と自然林の境目の、やや急な登りになりましたが、 藪はまったくなく、のんびり登って行けました。 |
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上から降りてきた数人のパーティとすれ違いました。 ルートが整備された今でも歩く人はそれほど多くはないようで、丹沢のように登山道が踏みしだかれていません。 |
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奈良倉山頂上 (クリックすると拡大) |
傾斜が緩んで、行く手が明るくなると間もなく頂上広場に出ました。 藪が綺麗に刈り払われた広場の中ほどに三角点標石と山名標識があります。 |
東寄りの林の縁に、”坪山・佐野峠" と記した道標が立ち、かつて地図と首っ引きでルートを探し歩いた尾根筋も登山道が整備されていることを示しています。 |
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奈良倉山の富士 (クリックすると拡大) |
頂上の南側が防火帯のように切り開かれている所では以前と同じ様に富士山が見えました。 谷向いの楢の木尾根の先に右手に三つ峠山、左手に御正体山を従えている、雪化粧の富士はなかなかの物です。 腰を下ろして富士ビューを楽しめるよう、丸太が並べてありました。 丸太のまわりの土の霜が解け、ザックを汚さずに置ける場所を探すのに苦労しましたがどうにか工夫して腰を下ろし、ノンビリ景色を見ていると後ろのほうが賑やかになりました。 20人あまりのツアーパーティが鶴峠から登ってきて、はじめて見る奈良倉の富士山に歓声を上げました。 |
カラ松林の向こうは奥多摩 (クリックすると拡大) |
大パーティが降りていったあと、しばらく経ってから腰を上げ、峠へ戻りはじめました。 険しいところはないので落ち葉でスリップしないよう注意するだけでよく、まわりの景色を見ながらのんびり歩きました。 |
ひと下りしたところから右手に分岐している歩道があったのでそちらに入りました。 2万5千分1地形図に1321m と書き込まれている中間峰の北肩を巻いてゆく道です。 |
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北面の日陰の斜面を横切ってゆくひっそりした歩道で、入口から僅か進んだ所に小菅村へ降りてゆく道が分岐していました。 整備は行われていないようで入口に道標はなく、通れるかどうかは分かりません。 |
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小金沢の山並み クリックすると拡大) |
行く手の高みは鶴寝山で、その左に小金沢の山並みが連なっています。 |
足元を見ると所々に分厚い霜柱の層が見え、山はすでに厳冬になっていることを告げていました。 |
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巻道が終わるとゆったりおだやかな尾根の背の道に戻りました。 左手正面は小金沢の山並みです。 |
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やがて、峠に停まっているバスが見えてきて、間もなく峠に帰り着きました。 小菅の湯行のバスが出るまで、1時間近くあったので峠頂上の横に立っている道路開通記念碑の袂の石段に腰を下ろしてお昼を食べました。 峠の南の大月側の道路は閉鎖されているためドライブやツーリングの車が通らず、小菅から登ってきた登山者の車が2、3台停まっているだけで藪山時代と同じ静けさが保たれています。 昼をまわって雲がすこし出てきましたが穏やかな小春日和の峠でのんびり時間を過ごしました。 |
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小菅の湯行きのバスはほかに客がいず、25分かかって降り着きました。 小菅の湯から出るバスは一番早いのが 14:41発の大月行で、1時間ほどの待ち合わせとなります。 山の湯で垢を洗い流し、身体を温めて出てきましたがまだ少し時間があったのですぐ隣の道の駅に行き、地元のオバァちゃんが作ったまんじゅうと地物のわさび漬けを買いました。 まんじゅうは帰りの車中の良いおやつになりましたがふたつ買ったわさび漬けの、とりわけ片方は絶品で、家に持ち帰ったあと一週間あまり、鼻にツンと抜ける辛味を楽しみました。 |
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大月行のバスは深城ダムから上和田、七保、猿橋を通って大月駅へ向かいます。 時間が早かったので猿橋で途中下車し、甲斐の猿橋を見物しました。 橋の袂の店でそばを食べたいと思っていたのに3時で店が仕舞ったあとで食べ損ねたのは残念でしたが、橋の近くの峡谷は紅葉の盛りで、きれいな景色を見ることができました。 |
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紅葉の猿橋 クリックすると拡大) |
このあたりには4本もの橋が架っています。 左の写真は猿橋の上から下流を見たものですが、すぐ近くに八ツ沢発電所一号水路橋、もう少し下手に国道20号線の橋がかかっています。 橋の見物が終わったあと、次のバスが来るまでに1時間近くもあったので、この日に歩き足りなかった分の補充も兼ね、猿橋駅まで歩きました。 この選択は結果的に大正解で、猿橋駅のホームに出たあとチョッと待っただけで東京行き快速電車が来て、手早く家に帰れることとなりました。 |
<ルートの詳細> Google MyMap を参照 GPS 軌跡ダウンロード |
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ルートマップ (国土地理院地形図を利用し Android アプリ 地図ロイドで作成) |
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☆おわりに 4ヶ月ぶりにピリッと冷たく爽やかな山の空気に触れ、体の中で眠っていた何かがパット目を覚ましたような感覚がありました。 老化による心身能力の低下がますます顕になってはいても、軽い山歩きならまだ十分に楽しめることを確認できたのは嬉しいことでした。 身の程に相応しい計画を立て、できるだけ長く山歩きを楽しみたいと思っています。 道路の整備が進み "交通機関低山" が増えているのはありがたいことです。 |
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