鈴鹿 霊仙山と湖東 繖山 (2011.5.15-16)


☆期日/天気/山行形式: 2011年5月15-16日 市中旅館利用、立ち寄り山行
☆地形図(2万5千分1)
                   霊仙山: 霊仙山(名古屋9号-1)、彦根東部(名古屋9号-3)
                   繖(キヌガサ)山: 能登川(名古屋13号-2)、八日市(名古屋14号-1)
☆まえがき
    熊野古道を卒業した年寄り仲間で琵琶湖の北から東にかけての歴史を訪ねる旅をした。
歳はとっても平地の旅だけでは物足りない。
山友達とふたり、現地に残留して立ち寄り山行をすることにした。

  目あての山としては鈴鹿北端の霊仙山を選んだが確実な登頂を期して予備日を設定。
米原に2泊して天気が良い方の日に霊仙山に、ほかの日に湖東の繖(キヌガサ)山に登ることにした。

  霊仙山は醒井養鱒場の奥の榑ヶ畑からお虎ガ池を経て往復するのが一般的なようだったが、同じルートを往復する登り方は好きになれない。
山裏の今畑にまわりこみ、西南尾根から最高点峰を経て頂上に達したあと、お虎ガ池ルートを下降する周回計画とした。

  西南尾根は笹峠の先の森林限界から近江展望台まで石混じり草付き斜面の急登が連続し、年寄りには厳しいルートだったが色とりどりの花で一杯だった。
急登から抜けだして乗った頂稜部は緩やかに起伏するカレンフェルトの尾根で、雄大な展望を楽しんだ。
最高点峰の頂上では360度の展望を眺めながら、今もって山に登れるのを有り難いと思った。

  予備日としていた二日目は湖東の繖(キヌガサ)山に登った。
繖山は近江八幡と五箇荘の間にある標高 432.5m の低山であるが、磐座の多い山であちこちに展望点があり、神域として保護されてきたのか森が綺麗だった。
山中に戦国時代の山城の址、中腹には幾つかの古い社寺があった。
山を下り、石馬集落の外れからバスで能登川駅に戻り、米原で新幹線に乗り継いで帰京した。
☆5月15日(晴) 榑ヶ畑-今畑-西南尾根-霊仙山-榑ヶ畑-醒井養鱒場

<行動時間>
    米原[7:00]=[7:25]登山口(7:30)-榑(クレ)ヶ畑(7:45)-汗ふき峠(7:55)-落合(8:30)-今畑(8:35/40)-笹峠(9:30/40)-近江展望台(10:30/45)-最高点(11:35/12:05)-霊仙山(12:15/25)-北霊仙山(12:40)-お虎ガ池(12:53/56)-五合目見晴台(13:22/30)-汗ふき峠(13:54/14:00)-榑ヶ畑(14:10)-登山口(14:18)-(15:07)醒ヶ井養鱒場前[15:38]=[15:59]米原駅前-近江屋旅館


霊仙山最高点の展望    
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<概要>
    霊仙山に確実に登頂するため旧米原宿の旅館に2泊したのだが天気のまわりあわせが良かったので初日に霊仙山に行くことにした。
早朝、車で榑ヶ畑へアプローチし、汗ふき峠を越えて山裏の大洞谷を下って今畑の廃村から西南尾根に取り付き、近江展望台(1003)を経て最高点(1094)に登った。
山が石灰岩質のせいか、冬期の多雪のせいか、森林限界が低く、900m 台で低潅木から岩混じりの草付きに変わってまわりの視界が開け、ルート沿いにさまざまな花が見られるようになった。

霊仙山西南尾根笹峠上の潅木帯の眺め    
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樹林帯上限に近いところにはこれまで見たことがない立派なエビネの群落があった。
また近江展望台付近ではヤマシャクヤクが清楚な花を咲かせていた。
この花も多分、はじめて見たような気がする。
 
エビネ    
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ヤマシャクヤク    
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  大小様々な白石が積み重なった尾根筋を辿って 1094m の最高点峰に登り着いた。
360度遮るもののない視界が得られるピークで大気が澄んでいれば白山から御嶽、乗鞍まで見えると言う。
この日は黄砂か水蒸気か、霞が濃くて遠望は利かず、近江平野や琵琶湖がうっすら見えるくらいだった。
それでも冒頭パノラマ写真のように、谷向いの三角点峰から右のほうへ緩やかに起伏している頂稜の先に、伊吹山と金糞岳、関ヶ原とその右手に養老山群などが並んでるのが見え、はじめて出遭った山岳景観を楽しんだ。

  カレンフェルトの斜面を下って登り返し、左折するとすぐに三角点峰に着いた。
こちらは日曜日の昼時の一般ルートの終着点らしい賑わいになっていた。
このごろの山では、地味な支度の中高年ハイカーだけでなく、色鮮やかなウエアーをまとった山ガール(とボーイ)の姿も見かける。

  霊仙三蔵法師の事跡を記した看板の脇に立つと先刻登ってきた西南尾根の上部が目の前に横たわり、その先に鈴鹿の御池岳と藤原岳が並んでいるのが見えた。

西南尾根上部    
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  頂上の北隣の経塚山からお虎ガ池へ向かい、五合目展望台、汗ふき峠を経て榑ヶ畑へ下降した。
お虎ガ池付近は緩やかな窪地で一番低いところに水が溜まっていた。
近くの谷溝には僅かながら残雪が見られ、雪解け水が集まるのではないかと思った。

お虎ガ池付近の景観
   池の南側を区切っている尾根を乗り越すと琵琶湖を見下ろしながら急降下するようになる。
よく整備された土道で、所々にトラロープが固定されていた。
僅かな時間で樹林帯に戻り、若葉薫る新緑の尾根を下って行くと開けた平坦な場所があり、五合目展望台と記した道標が立っていた。
野外ベンチのある小広場で何人かが休憩していたので私達も隅の木陰にザックを下ろした。

  展望台から先は一部にやや急な所もあったが約25分で朝方通った汗ふき峠に鞍部に下り着き、さらにひと下りで榑ヶ畑の小屋を通って登山口の林道に出た。

  榑ヶ畑から醒ヶ井養鱒場までは約4Km。 シャガの花盛りの林道を歩いて50分足らずでバス停に着いたがすんでの所で3時過ぎの米原行バスを逃がした。
幸い、30分あとに次の便があったので近くの霊仙三蔵廟に参拝したり、自販機で買ったコーヒを飲んだりしながら待ち合わせ、早い時間に米原の宿に戻った。

<ルートの詳細>




   霊仙山の GPS スライドショー




  Flickr の元画像スライドショー

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☆5月16日(晴のち曇り) 能登川-猪子山-地獄越-繖山-観音正寺-石馬寺-能登川
<行動時間>
    米原[8:17]=(JR)=[8:25]能登川(8:34)-岩船(8:45/50)-猪子山(9:08)-PK335(9:45/50)-石馬寺分岐(10:05)-雨宮龍神社(10:00/05)-地獄越(10:15)-肩で休憩(10:40/45)-繖山(11:05/10)-桑実寺・観音正寺分岐(11:19)-参道(11:37)-観音正寺(11:50/12:05)-黎明の里ゲート(12:38/13:00)-川並交差点(13:20)-石馬寺入口(13:31)-石馬寺(13:39/50)-(14:07)石馬寺バス停[15:15]=(近江鉄道バス)=[14:27]能登川駅[14:40]=(JR)=[14:53]米原[15:54]=(ヒカリ#522)=[17:51]新横浜=あざみ野=[18:38]宮崎台
<概要>
   天気のまわりあわせが良くて予備日も晴れ上がった。
JR電車で能登川駅(80)まで行き、岩船(160)から猪子山(267.5)に登って尾根伝いを開始。
雨宮龍神社(305)から地獄越(216)を経て繖山(432.5)に登頂した。
柔和な名の小さな山なのでやや甘く見ていたのは歳を忘れた思い上がりだったようで、小刻みにやや急な上下を繰り返している尾根筋を辿ってゆくミニ縦走は意外に手応えがあった。
随所に展開する展望と相俟ってオマケ山行の分に過ぎた山歩きだった。

  下山は観音寺城跡(400)を通って観音正寺(365)へ。
山の八合目くらいの所にある眺めの良い古寺だったが近年本堂を焼失したのを再建したばかりだった。
不動堂や庫裏には古い遺構が残されていたが全体としては情緒が失われているような感もあった。

  観音正寺のあとやや長い車道歩きをして地獄越トンネル東口近くの石馬寺町へまわり、2日前に訪ねた石馬池から石馬寺に登った。
苔生す石段を登って行った新緑の森の中に聖徳太子所縁の寺があった。
あいにく月曜日は拝観休日で本尊などを拝観することはできなかったが静かな境内でゆっくり、良い休憩をした。

 冗長を避けるためこれ以上文字を連ねるのは止めるが、この山には上のふたつの寺のほか、我が国養蚕技術のルーツと言われている桑實寺もある。  山続きには安土城址もある。
寺巡り・城跡めぐりと組み合わせたユニークな山行ができるから、遠くから出かける価値のある山のひとつと言えよう。

<ルートの詳細>



  繖山の GPS スライドショー



  Flickr の元画像スライドショー



  詳細ルートマップ
          (国土地理院地形図をカシミール
           で表示した上に GPS 軌跡を記入
           して作成した。 縮尺は不明。)


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☆おわりに
    米原の宿(近江屋)は、旧宿場にあった古い旅館が建て直したもので、一見普通の民家風が小さな看板を出していると言う風だった。
トイレと風呂場が遠いほかは、居心地の良い宿だったが夕食が出ないのが不便だった。
駅の向こう側にあるショッピングセンターでそこそこの食べ物を入手できるが近所にこれはという食堂/レストランがない。
折角ここまで遠出しているのだからなにかおいしい物をと、山から帰ってシャワーで汗を流して着替えたあと、隣町の彦根まで行って夕食をした。
  前の晩も彦根に行って食べたのでふた晩続けて隣町に通ったことになったのだが、JR片道180円で10分足らずだから首都圏住民の感覚としては特段のことではない。
城で有名な彦根もその割には町が小さく、食べ物屋の数も限られていたが、近江牛の和食コースや鮮魚・寿司など、ひと通りの美味しいもの屋は揃っている。

  今回の立ち寄り山行ではふつか続きの好天のもとユニークな山ふたつに登れ、嬉しい思いをした。