鹿沼、石裂山 (2011.5.31)


☆期日/天気/山行形式: 2011年5月31日(曇) 単独日帰り山行
☆地形図(2万5千分1): 古峰原(宇都宮5号-3)、文挾(宇都宮5号-1)
☆まえがき
    鹿沼には個性的な岩山が多い。
古賀志山、岩山、石裂山の三山がそれらの代表格かと思うが石裂山のみ未踏でここ数年の宿題になっていた。
身体能力が低下してきて岩場歩きが不安になってきたので今のうちにと思い、台風1号が通り過ぎていったあとの晴天を狙って出かけることにした。

  公共交通機関を利用して石裂山にアプローチする場合、JR鹿沼駅前発8時(東武新鹿沼 8:13)のバスが利用できるのだが、神奈川県内からだと極端な早発ちとなるのが辛い。
帰りには石裂山発14時55分のバスが利用するとして山中の行動に必要な時間から逆算すると9時頃新鹿沼駅に着いてタクシーでアプローチすれば良いと言うことになる。
これなら6時頃家を出発すればよい。

  台風一過の晴天を期待して出かけたのだが雲が低く立ち込める日になった。
楽しみにしていた展望は得られなかったが降られはしなかった。
ルートはなかなか手応えがあり、変化に富んでいた。
非常に険阻な所と至極平穏な部分が交代して現れ、単調を感じることはなかった。
難場には鎖、梯子、桟道がよく整備され、安全が確保されていた。
主稜まで100m 足らずくらいの所で前の日に通り過ぎて行った大風が数本の木を吹き倒していて、通過するのに少々手間取った。

石裂山 月山頂上の展望    
(クリックすると拡大スクロール)
☆行動記録
<行動時間>
    宮崎台[6:09]=北千住=[8:58]新鹿沼=[Taxi]=加蘇山神社社務所(9:20/30)-加蘇山神社(9:40)-竜ヶ滝休憩所(10:13/20)-千本桂(10:22)-中宮跡(10:45)-ひげすり岩(11:15)-倒木(11:24)-主稜出合(11:30/40)-東剣ノ峰(11:45/50)-西剣ノ峰(11:57/10:05)-石裂山(12:20/23)-月山(12:35/50)-下降点(13:01)-くさり場(13:10)-竜ガ滝休憩所(13:40/13:55)-加蘇山神社(14:10/20)-加蘇山神社社務所(14:35/15:30)-上久我馬返の上手(15:45)=[Taxi]=(16:05)東武新鹿沼駅[16:37]=東武動物公園=[19:45]宮崎台

<ルートの概要>
    新鹿沼駅前にはいつも5、6台のタクシーがいるので待ち時間ゼロで電車から乗り継いで出発。
加蘇神社社務所前まで約20分、5000円あまりだった。
加蘇神社参道下の駐車スペースには3、4台の車が停めてあったが、竜ヶ滝休憩所から先では人に遭わなかった。
ルート上の踏跡や強風で落ちていた枝の状況などから先行者はないようだった。
難場を避けて逆ルートから頂上に往復したのかも知れない。

  竜ヶ滝休憩所から中ノ宮・奥ノ宮に向かう沢道の脇に千本桂が立っていた。
その名の通り、数多くの幹が束になって立ち上がっている様は異様だった。
山奥で出逢う巨木に共通する神秘的な雰囲気が周囲に漂っていた。

石裂山 千本桂    (クリックすると拡大)
  千本桂の先で最初の鎖場を登った台地の上が中ノ宮跡で東屋があった。
ここで小休止したあと左手へ沢壁を横切って行くと右手の岩壁に30m 程の梯子が架けてあった。
 奥ノ宮入口で、立ち寄ってみたくもあったが先が気になるのでパスして進むとすぐ、全長40m 超の長い鎖場があった。
取り付き部は鎖のみだが一段上がった所から上はアルミの梯子が設けられている。
  鎖場を抜けた所から左手にトラバースして小尾根に上がり、木の根を頼りに露岩の多い尾根を登ってゆくとギャップにアルミの橋が架けてあった。
岩と木の根の急登は南会津 志津倉山の登りを思い出させた。
  さらにその先で手すり付き梯子を登り上げると、右手へ鎖付きのアルミの桟道を渡って行くようになる。
このあたりがヒゲスリ岩かと思ったが、所々に風に折られた枝が落ちているのをどかしながら進んだ。
  まわりの地形が緩み、行く手が明るくなって来たあたりで下の方から微かに人声が流れてきた。

  土の斜面を折れ登るようになってもうすぐ稜線か、と思う位になったところで倒木が道を塞いでいた。
  前の日の大風で吹き倒されたばかりのようで繁茂した枝にまだ瑞々しい葉が付いていた。
  枝の間を圧し通ろうとしたが跳ね返されて駄目だったので、右横の斜面を数m 登った上で枝の隙間を押し通り、V 字に折れ曲がっていた道の上辺に上がったが、その先にさらにもう一本倒れていた。
その下の地面との狭い隙間をザックを下ろしてすり抜けた。

  倒木を通過するとすぐ小尾根に上がり、左手に進むとすぐに主稜だった。
主稜出合いには頑丈な道標が立ち、東剣ノ峰の方に向かって穏やかな尾根道がのびていた。

西剣ノ峰展望台から高原山    (クリックすると拡大)

  尾根の背を僅か進んで高みに上がると東剣ノ峰だった。
行く手に高い石裂山頂上が視界を遮り捗々しい眺めは得られなかったのでひと息入れただけで先に進んだ。

  急峻な岩稜に架けられた30m ほどのアルミ梯子を下り、鞍部から再度登り返して西剣ノ峰に上がった。

  "右手30m に展望台" と記した道標が立っていたので行ってみたら北側の樹木が切り開かれ、高原山が思いがけない近さに見えた。
西剣ノ峰の裏側の下りも急な階段だったがこちらは右下へ巻き下って狭苦しい鞍部に降りた。
    岩と木の根の急な尾根を登り上げ、左に折り返して進むと三角点標石のある石裂山頂上だった。
北の樹木に隙間があって日光方面への視界が得られたが雲が低くて遠くは見えなかった。
  石裂山頂上から先は至って穏やかな尾根道に変わった。
最後にひと登りすると月山頂上の祠の背後で、その前にまわると北方の視界が広がり、冒頭パノラマ写真のような展望が得られた。
  雲が多く近在の山しか見えなかったが、雨後の岩場を無事に通過できたことでほっとして長休みをした。

  下降路は途中に鎖場と梯子があったものの概して穏やかだった。
のんびり歩いて竜ヶ滝休憩所に戻り、ほぼ目論見通りの時間に出発点に戻った。

<ルートの詳細>




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  Flickr の元画像スライドショー



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☆おわりに
      老化の進行とともに、とくに日帰り山行では、問題が起こりやすくなっているなかで今回は比較的順調に登降できて嬉しかったが、下山した後に間抜けな失敗をした。
加蘇神社社務所前に立派な休憩舎があり、バスの時刻を記した紙まで貼ってあったのでてっきりバスの発着場と思い込んだ。
ところがいつまで待っても午後1本しかない鹿沼行バスが来ない。
携帯が圏外だったので社務所玄関脇の公衆電話から市役所に電話して、実際の発着場は100m 程下手だったことが分かった。
仕方なくタクシーを呼んで辻褄を合わせ、1時間遅れで帰宅できたのだが、不注意な思い込みで時間を無駄にし、余計な金を使うことになったのが癪に障る。

  鹿沼の山は日帰りには遠く、泊まりには近い、と言う中途半端な距離のため山行計画が立てにくくて出遅れていたが、今回の山行により "鹿沼三山" を踏破できた。
  このあたりにはまだ幾つか個性的な低山がある。
さらに、県境の奥山も静かで眺めが良く、泊場にも恵まれている。
山に登れる間にさらに何度か出かけ、登り歩いてみたい、と思っている。