静岡、上伊佐布-高山-吉原 (2010.10.16)


☆期日/天気/山行形式: 2010年11月16日 晴れ 前夜泊日帰り単独
☆地形図(2万5千分1): 和田島(静岡10号-1)、清水(静岡10号-2)
☆まえがき
    東海道新幹線が静岡付近を通過するとき、もっとも目立つ山が竜爪山だ。
安倍川東山稜南端部にあるこの双子峰は山の形が綺麗な上に展望も優れている。
近くを通る時にはいつも、何度も登って親しみのあるこの山を眺めるのを楽しみにしているのだが、その東隣にもうひとつ、よく似た形の山があり、うっかりすると取り違える。
こっちの方は伊佐布の高山で、とても気に懸っているのに長い間登り損ねたままになっていた。

  11月の中旬、歴史散策シニアグループの下見で興津・薩埵峠・由比に行くことになった。
せっかくすぐ近くまで行く機会を生かして高山に登ろうと下見が済んだあと仲間と別れて静岡まで行き、駅前のホテルに泊まった。
高山はごくマイナーな低山ゆえ情報が乏しかったので 国土地理院の地形図情報サービス、一昔前に地元山岳会が刊行したハイキング案内書、低山山行記録が多数掲載されているハイキング雑誌、インターネットで出ている物好き山屋のルート情報など、雑多な情報をかき集めて登頂プランを組み立て行った。
ところが予想外に進んでいた第2東名高速道の工事で取り着き付近の山が大きく削り取られ、登山口が消滅していた。
  大きく迂回し尾根の上部に上がる農道から登らざるをえなかった。
登頂のあと竜爪山方面へ尾根伝いをする計画だったのだが登りで意外な時間を費やし疲れてしまったため中止。 東麓の吉原に下山した。
下降路は富士山に正対する斜面に広がっている茶畑・蜜柑畑の中を大きくうねり下って行く農道だった。
好天にも恵まれ、富士山や駿河湾方面への素晴らしい展望を楽しんだ。

農道上部から見た高山の頂稜部    
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☆行動記録とルートの状況
<行動時間>
    静岡[7:44]=(JR)=[7:55]清水[8:30]=(静鉄バス庵原線上伊佐布行)=[8:56]上伊佐布(9:00)-伊佐布北滝(9:20/26)-農道(9:30)-上伊佐布最奥の人家(9:55)-農道上端(10:45)-尾根上の踏跡(10:50)-標高 590m 丸太橋付近(11:15/20)-峯山林道(11:28)-頂上入口(11:45)-高山北峰(12:10/20)-峯山林道(12:34)-伊佐布下降点(12:57)-一本杉(14:10/15)-作業小屋(13:40/55)-吉原JA前バス停(14:20/25)-新吉原橋(14:30)-吉原温泉(14:48/53)-(15:40)杉山バス停[15:50]=(静鉄バス)=[16:12]清水[16:30]=[16:42]静岡[17:36]=(ヒカリ#478)
=[18:21]新横浜=あざみ野=宮崎台

<概要>
    上伊佐布の北滝から高山に登るルートは第2東名高速道の建設工事により下部の地形が大幅に変わって登山口が消滅。 集落背後の斜面に広がっている茶畑・蜜柑畑の農道を経由しなければ登れない状態になっていた。
  大きく迂回しながら高度を上げて行く舗装農道を登ってゆくと末端に左のような作業小屋があった。
山に入る道が小屋の背後にあるのではと思って覗きこんでみたが踏跡も見あたらなかった。

  農道を100m あまり戻った所で茶畑に上がり、お茶の木の間に踏み跡を拾って尾根の背に上がった。
踏み跡は人があまり歩いていない感じでかなり籔っぽかったが古錆びたモノレールが見えた。
籔を抜けて杉林の中に入ると古い道の跡と思われる丸石の列が見えたりして、かつてはそれなりの人通りがあったことを窺わせた。
  杉林の中に立っている鉄塔が見えたあたりから先は道形が分かりやすくなった。
さらにひと登りすると吉原から上がってきた舗装林道に合流した。
出口の脇に小さな手製道標があった。
緩やかに上下する舗装路を進んで行くと舗装が切れた所に車止めの広場があった。
広場のすぐ先の左手に頂上へのルートの入り口があった。
あまり踏まれていない籔道だったが送電線巡視路として維持されているようで急な所には黒色樹脂の階段があった。
  明瞭な標識と三角点標石がある高山の頂上は濃密な杉林に覆われて暗く、展望も僅かに林の隙間から清水港のあたりが見えた程度だった。
  頂上を乗り越して先に進めば竜爪山裏の穂積神社まで行くことが可能なようだったが、登りで時間を食い、疲れもしていたので元に引き返すことにした。
車道までの下りに危険な所はなかったが、急な所では足許に注意する必要があった。
  林道を戻り、上伊佐布からの出口を通り過ぎるとすぐに大きくカーブを描いて高度を下げ、茶畑・蜜柑畑の中に出た。
正面に富士が見え、眺めの素晴らしい下降路だった。

高山東面下降路の展望    
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  展望を楽しみながら茶畑・蜜柑畑の中を大きく迂回しながら下って谷底の吉原集落に着いた。
右手に僅か進むとJAの大きな倉庫があり、その前の広場に吉原バス停のポストが立っていた。
毎時1本くらいの頻度で清水行きが運行されていることが分かったが2時過ぎの便が出た直後だった。
2Km 程下手にある吉原温泉で入浴できるかもと思ったのでそのまま歩いて行って見たのだがあいにく休業日だった。
山切川の狭谷のバス停で待つよりも歩いていた方が良いと思ったのでさらに歩き続け、谷が広がった所にある杉山集落の古い夜学校の前でバスに乗って清水で出た。

高山ルートマップ    
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<GPS トラックアルバム>






伊佐布-高山-吉原 GPS アルバム




元画像のスライドショー(Flickr)

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☆おわりに
    ウエブで最新情報をチェックして行った積りだったが高速道工事が地形図より遥かに先行していて登山口は既に消失。
農道経由、思わぬ時間が掛ってどうにか高山の頂上に登ったのだが展望はもうひとつパッとしなかった。
登りの苦労に引き換え、吉原への下降路では素晴らしい展望に恵まれた。

  あとで知ったことだが、この山の頂上から南に派生している長い尾根にはハイキングルートが整備され眺めも良いらしい。
暖くなったら一度歩いてみたいと思っている。