鹿原-房州アルプス-嵯峨山-白狐川谷(2008.3.29) |
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☆期日/山行形式: 2008.3.29 単独 日帰り軽ハイキング ☆地形図(2万5千分1): 金束(横須賀2号-1)、鬼泪山(横須賀1号-2) ☆まえがき 伊予ヶ岳・富山山行の下調べをしていたとき、その北隣に房州アルプスと呼ばれるルートが整備されている山があるのを見つけた。 "アルプス" の四文字をみるとそこへ出かけてみたくなるのは、半世紀以上も前から身に染み込んでいる条件反射だ。 春先で時期も良いし、リハビリ山行で歩くのにちょうど良いくらいのショートコースだから、と言うことで手許の資料で行程計画を立て、出かけてみた。 |
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小文字地獄のぞきの崖上から高宕山方面を望む (画面をクリックすると拡大) |
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山行当日は薄曇りながら落ち着いた空模様の暖かい日で、ノンビリ春の低山逍遥を楽しんだ。 時間が早かったので、近くにある嵯峨山にも登っまでは良かったのだが、下山路の最後の所でルートミスをやらかし、山の裏側の白狐川谷に降りてしまった。 持参した地形図の外に出てしまったため、しばらくの間は現在位置も不明というご粗末になったが、図らずも長く綺麗な里道を歩くこととなり、目と身体の保養ができた。 |
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☆行動記録とルートの状況 <タイム記録> 宮崎台[6:04]=錦糸町=千葉=[9:14]上総湊=[タクシー \4310]=林道鹿原線登山口(9:40/50)-愛宕神社分岐(9:55/10:00)-愛宕神社(10:10/15)-神社分岐(10:20)-地獄のぞき(10:45)-房州テラス(?)-山中分岐(10:50)-267峰三角点(11:00/15)-マテバシイの原生林(11:34)-内台登山口(11:43)-鋸南町分岐(11:55)-釜ノ台(12:30/45)-嵯峨山(13:05/10)-水仙ピーク(13:25)-水仙ピーク入り口(13:33)-白狐川林道(13:40)-白狐(15:00/10)-(15:25)竹岡バス停[15:39]=[天羽日東バス]=[15:45]上総湊駅[15:56]=君津=錦糸町=[19:12]宮崎台 |
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◆最寄り駅の上総湊まで結構遠い上にアプローチが不便だったので、タクシーを利用して労力と時間を省いた。 志駒の中郷と上郷の中間にある林道鹿原(シッパラ)線入口から歩き出す積もりだったのだが、ドライバーと話し込み、山の上の登山道入口まで乗ってしまった。 林道が直角に曲がる所が小広場になっていて奥手にゲートがあり、その脇に "房州アルプス登山口" と記した道標が立っていた。 |
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ルートは狭めの林道と言う感じでほぼ平坦。 至って歩きやすかった。 芽萌きの山肌や道端の野草の花を見ながら歩いて行くとすぐに、愛宕神社分岐に着いた。 手製の金属梯子が架かっていたので登ってみたら石祠があった。 山つたいに愛宕神社に行こうとしたがどうも難しそうだったのでもとに戻り、階段を下りた。 |
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尾根上の広い道を歩き、緩やかな鞍部の先から少し登り返した高みに愛宕神社があった。 粗末な建物の社殿だったが新しい注連縄が懸かっていた。 |
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もとの分岐に戻って先に進んで行くと小岩峰があった。 そこを回りこんで先に進むとまわりが潅木に変わって視界が開けた。 尾根の幅が狭まり、左下が切れ落ちた崖の上に出ると視界が広がり、ページ冒頭パノラマのような展望が得られた。 遠くの山並みは愛宕山のようだった。 |
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山が小さいせいもあって痩せ尾根はすぐに終わった。 少し登り返したところで振り返ると "核心部" の藪岩峰が並び立っていた。 |
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山中への下降路を見送った先から右手に回って行き、ひと登りすると赤白塗り分けの測量用ポールが立つ三角点峰に上がった。 ここが "アルプス" の最高峰で267m と地形図に記されている。 |
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三角点標石の脇に座り込んで暫く休憩した。 週末だったのにほかに誰もいず、あたりはヒッソリしていた。 見あげると山桜が空の青をバックに綺麗だった。 |
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267m 峰の先で七曲りの急坂を下った。 低山に似合わない急傾斜だった。 細かく折れ曲がりながら高度を下げ、緩やかな鞍部まで下ったあたりから常緑の大木が並び立つようになった。 これがガイドに出ていたマテバシイの林かと思った。 山の左斜面に入り、所々崩れかかって歩き難い所を進んで行くと、山崩れ防止堰堤の横に沿った短い急登があった。 登りきって尾根を越した所はミカン畑で、すぐ先はスイセン畑になっていた。 |
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間もなく民家が見えてきた。 犬が出てきて尾を振りながら吼えたてたのに声をかけながら歩いていったら住人が出てきた。 挨拶をしたあと小保田の方に行く道を尋ねた。 十字路がすぐ先にあり、志駒へは左に下るが小保田へは直進する、と教えてもらった 庭先の花が綺麗だった。 |
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十字路の手前に "房州アルプス"と記した道標が立っていた。 十字路を直進して行くとすぐ先で左手の視界が開け、下のような景色が見えた。 左手は津森山、右手の山際に尖っているのは伊予ヶ岳のようだった。 |
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林道が山を回っていったところに左に道が分れ、そちらを下れば鋸南町、林道を直進すれば嵯峨山と記した道標が立っていた。 この先の林道は複雑に屈曲している尾根筋に従って林道が急カーブを繰り返し、まわりが杉林で見通しが利かないせいもあって方向感覚が怪しくなった。 |
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急角度に回り込んで尾根を乗越し、廃屋の脇を通り過ぎてゆくと釜ノ台の谷あい集落に入った。 源流地帯の緩やかな斜面に人家がまばらに散在し、美しい山村風景だった。 方向感覚が鈍くなってほとんど迷い込んだのに近い状態だったため、夢見心地となった。 ただ、どっちに行けば目指す小保田に行けるのか見当が付かなくなってしまったのは困ったことだった。 |
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困ったなぁ、と思いながら歩いてゆくと下の田でふたりの人が耕運機を動かしているのが見えた。 道端には横浜ナンバーの車が停めてある。 声を掛けて畦に下り、地図を見せて現在位置と行き先を教えてもらった。 今居るのは釜ノ台で小保田へ行くルートは幾つか選択肢があるが、一番確実なのは目の前の嵯峨山を越してゆくものらしいと分った。 教えに従って先の分岐から斜上し、民家の軒先を通るとまた犬が出てきて尾を振りながら吠え立てた。 |
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民家の先の畑の中を左手に上がると大きな石碑の立つ墓地があった。 少し進んだところで左手に折り返し、尾根に上がって行く所は急な泥道になっていて、虎ロープが張ってあった。 |
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尾根に上がったところから右手に登ってゆくと、左上に頂上の高みが見えた。 途中から徐々に左手に曲がりながら尾根を登りあげると石祠があり、その僅か先の高みに "嵯峨山" と記した大きな板が木に掛けてあった。 |
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ひと休みしたあと頂上裏側の下降路に入った。 まもなく虎ロープが張ってある下りになった。 かなり急で荒れ気味だった。 |
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尾根が痩せ細ってくると間もなくスイセンピークに着いた。 両側ともかなりの急斜面だが、左側斜面はいくらか緩めで、一面スイセンが生えている。(左) |
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スイセンピークの先は痩せ尾根になっていた。 立ち木などに掴まれず、歳のせいでバランスが悪くなっているのがよく分かった。 ストックを持って来ればよかったのに、と思った。 痩せ尾根が終わり、杉林の中を下って行くとT字路に着いた。 左は涸沢、右は梨沢、釜ノ台、小保田と記した道標が立っていた。 |
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右手に折れ、杉林の中を進んで行くと左下が伐採されて開けた所があり、その上を通り過ぎると沢に降りついた。 踏跡は流れを渡って上流に向かっていた。 少し進みかけた所でストップして考えた。 感覚的に山の南側に降りて来ている筈だから上流に向かうのはおかしいのではないか? |
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回れ右してあとに戻り、僅かな藪を踏み分けて新しい舗装林道に出た。 時間は早いし、道も良くて歩きやすいしで、楽勝ムードになったのだが、実際は方向感覚が逆転していて山の北面から発する白狐川谷の中の道を北に向かって歩き出していたのだった。 |
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僅か歩けば見えるはずの下貫沢の人家が見えず、1時間近くも歩いた頃にようやく畑が現れた。 綺麗な谷で、道端に小さなログハウスがあったりして日本離れした景色だった。(左) 積りとは大分違う所を歩いていることは明らかになったが、持っていた地図の外に出てしまったようで、地形図とまわりの景色を対比して現在地を同定することができない。 仕方なく歩き続け通り掛った集落で出会ったおばさんに尋ねみたら、ここは上白狐の集落で、山の北面に下りてきてしまっていることが分かった。 |
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完全に持参した2万5千分1地形図の外側で、僅かに20万分1地形図が頼りになった。 海沿いの国道が通っている竹岡まで6、7Km はある。 長い里道歩きを覚悟した。 天気は悪くないし、時間も遅くはなかったので途中休憩しながらノンビリ歩いた。 海沿いの竹岡の町に入ったところでまた道を尋ねたらすぐ先が国道で、出た所に上総湊行きのバス停があることが分った。 |
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このバス停はローカルの天羽日東交通では十夜寺だが、高速バス竹岡も兼ねていて、1時間に1本、東京駅行きの便が通る。 15分ほど待っただけで上総港駅行きのバスが来たのは幸運だった。 おかげで、計画通りに歩けた時のと同じ電車に間に合い、予定通り家に帰りつくことができた。 |
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☆おわりに 滅多にないことだが、方向感覚が狂ったせいで山の南面と北面とを取り違えて下山し、長い里道歩きをすることとなった。 里道歩きは足腰より上半身の筋肉に負担がかかったようで、帰宅したあと右脇腹の筋が頚痙しかかったりしたが、病後のリハビリとしては、思わぬ効用があったように思った。 房州には年寄り向き面白い山が幾つもあることが分かった。 今シーズンはここらでストップするが、次の冬以降の楽しみにできる。 これからは春山シーズンが本格化する。 高山は無理としても、もう少し登高差と距離のある山域に移行しよう。 |
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