![]() 南八幡平-裏岩手縦走 [1/2] (大釜-大白森-曲崎山-八瀬森) ![]() |
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☆期日/山行形式: 2006.8.25-28 無人小屋利用、3泊4日 ☆地形図(2万5千分1): 秋田駒ケ岳(秋田2号-3)、曲崎山(秋田1号-4) |
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大白森湿原に入り背後を振り返る (右端秋田駒ヶ岳から乳頭山) (クリックで拡大します) |
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☆行動記録とルートの状況 8月25日 秋田駒ヶ岳では降られたが一夜明けた朝は至極落ち着いた空模様になった。 テレビの天気予報は高気圧が日本海中部にあって東進中で、今後3日間は好天が続くと報じていた。 縦走の初日は全装備を背負って稜線に上がるためアルバイトがきつい。 ここでバテるとあとが厳しくなるので、乳頭温泉大釜から大白森山荘まで、半日行程として体力の保護を図った。 |
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ゆっくり朝食を食べ、8時過ぎのバスで出発し、終点の乳頭温泉大釜で降りた。 山への入口がどこか分からず、少々ウロウロしたが孫六・黒湯の方に行く道の入口の脇に見付かった。(左) |
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やや薮っぽい道に踏み込むと間もなく幅の広い丸太階段になった。 ひと登りした所で左下の蟹場温泉からの道が合流した。 蟹場から乳頭山への登降ルートとして整備されているようで、非常に歩きやすい。 |
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尾根の中ほどで小休止して登高を続けていると右手の樹木の間に乳頭山が見えてきた。(左) 地元のガイドにルートの状況を問い合わせたとき、この一帯は熊の住処だから "熊スズ" を持ってくるよう勧められた。 静けさを求めて山に入っているのに騒音を立ながら歩くのは嫌だったがこの頃熊と遭遇した話が増えているので初めて購入し、持参した。 スズを鳴らしながら歩いて行くと徐々に傾斜が緩んで平らになり、やがて前方の樹間に青空が見えてきた。 県境稜線に登りつく付近は木道があり(下左)、三つ角には標柱が立っていた。(下右) |
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![]() この標柱は熊が引っかいた跡と言われる欠損がある。 角が大きく欠けているのは一度や二度でなく、数年にわたって繰り返し引っ掻かれたせいだろう。 |
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ブナの尾根を辿るやや藪っぽい道を進んでひと登りすると道端に三角点峰標石がある1063.4m 無名峰だった。 穏やかに起伏する県境尾根を辿って行くと、時折、樹木の間から小白森山や大白森が見えた。 またひと登りしてピークを越し、降りて行った所で鶴ノ湯からの道に合流した。 鶴ノ湯から大白森に往復する人は多いようで、幅広の道が良く踏まれていた。 |
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やや急に登って小白森山の肩に上がると木道が現われた。 ほとんど平らな木道を歩いてゆくと左へ分岐している所があった。(左) 分岐から10m ほど入ると湿原の縁で、小白森山頂上の標柱が立っていた。 湿原には池塘があり、いくつか秋の花が咲いていた。 奥手を囲む林の梢の上に秋田駒ケ岳の高い所が見えていた。(下) |
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鳥の声もない、静かな湿原で休んだあと先に進んだ。 緩やかに下っていった鞍部から徐々に登り返し、途中からは左のような急登を経て大白森の頂上湿原に上がった。 長くはないがこの日ではもっとも急な登りだった。 |
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ブナの森から突然開けた所に飛び出し、木道に上がるとまわりがパッと明るくなった。(左) 木道を進んで広大な大白森湿原の南端に出ると広大な視界が開けた。 下のパノラマ画像は、南八幡平縦走ルートの小モッコ山(左遠くの小突起)から大深山(中央の平頂)を経て、裏岩手連山から岩手山まで。 左半分は去年の夏、思い出に残るワンデリングをした稜線だし、右半分は今回の縦走の仕上げをする最終行程の部分である。 大白森の山上湿原は2段になっている。 南北500m 程の主湿原を縦断すると僅か下った所に縦径300m ほどの下段湿原がある。 こちらにはリンドウなどの花が多かった。 |
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湿原の南端から熊笹と潅木の間に分け入り、ブナ林の中の藪っぽい道を30分あまり下って行った所に左のような標識が立って大白森山荘の入口を示していた。 |
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縦走路の西側約20m に左のような2階建ての小屋が立っていた。 平成15年8月落成のまだ新しい小屋で、床面積は6×5m 程。 一階はベンチと薪ストーブの土間になっている。 |
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![]() 2階は、一部吹き抜けになっているため、床面積が3×5m 程度しかなく、精精5-6人位しか泊まれない位の狭さだ。 毛布が7枚置いてあったのでマットとシラフカバーの代わりに利用した。 |
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水場は縦走路の東側約10m の沢溝で、小人数には十分な細流があった。(左) 木製の水槽の中にイモリの死骸があったので外に放り出し、水替えをしたあと小屋に備え付けのバケツとポリタンクに汲んだ。 ブナの森から滲み出したばかりの水はまろやかな味がした。 深い森の中の小さな小屋にただ一人、長い時間寝て身体と頭とを良く休ませることができた。 |
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8月26日 テレビやパソコンがない所に入ると条件反射が起こり、暗くなるとすぐ寝たくなる。 早寝のお蔭で、朝が来てまわりが明るくなると自然に目が覚めた。 |
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この日はこの山行の全行程で、最も山深い部分を歩く。 山の動物達にとっては最高に居心地が良さそうなブナの森が続いた。 |
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小屋から30分ほどの999m 峰に左のような標柱が立ち、玉川ダム方面へのエスケープルートの起点を示していた。 |
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大沢森(左)を越し、緩やかに下っていった先から曲崎山の登りが始まった。 |
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暫くの間、山腹を右手に斜上したあと左に折れるが、その前後の標高差100m あまりの部分はこの日最大の急登だった。 途中、頭の上に頂上部が見え、あそこまで上がるのかとゲンナリした。(左) |
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大石が積み重なった急登は、久し振りに重荷を背負っているので辛い仕事だったが天気は良し、時間も十分余裕があったので身体と相談しながらユックリ登り続けた。 |
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![]() まわりの樹木の背が低く疎らになると徐々に傾斜が緩んだ。 背後を振り返ると昨日通った大白森が目の前だった。 その背後には秋田駒ケ岳が見えた。 呼吸を整えながら右に回り込んで曲崎山の頂稜に乗った。 |
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頂稜部は両側の藪の背が高くて展望が得られなかったが、伐り払いの縁に沿ってリンドウの花が長い "並木" になっていた。 人里から遠く離れた山深い所で思い掛けない花見をする機会に恵まれ、ひとり感激した。 曲崎山頂上は、至って地味な場所で、大パーティがまとまって休むことはできないだろうと想像する狭少な伐り払いだった。(下左) |
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誰もいない頂上で長目の休憩をして急登の疲れを癒した。 曲崎山の頂上から東側へ下りはじめた所では下のように八幡平方面から裏岩手稜線への広大な展望を楽しんだ。 手前に広がっている黒々した針葉樹の森の中に八瀬森山荘がある筈だが、中央分水嶺両側の水脈が、組み合わせた両手の指の様に入り組んでいる複雑な地形で、いみじくも、"八瀬森" という名を付けた昔の人の表現力に感じ入った。 |
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笹と低潅木の尾根を暫く下って森の中に戻るとまた緩やかな上下が続いた。 |
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視界が閉ざされて単調に感じたのと、幾らかは疲れが溜まって来たのとで、やや飽きたが、長い登りを乗り切って八瀬森と記した標柱の立つ平頂に着いた。(左) |
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八瀬森頂上から小屋までは近く、右に回りこみながらひと下りで小屋の横手に着いた。 この山域のほかの小屋に比べてやや古いがそれがかえってまわりの森と調和し、落ち着いた雰囲気を醸している。 |
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八瀬森山荘は7×7m ほどの二階建で無人の避難小屋としてはかなり大い。 一階は土間、二階は吹き抜けで、両方とも凹形の床になっており、詰めれば30人くらい泊れそうだ。 布団・毛布が10組位ある。 清潔ではないが干し竿に掛けてあるので乾燥し、気分良く利用できる。 銀マットの代わりに敷き布団を、シラフカバーのかわりに毛布を一枚借用し、薄い夏シラフの心細さを補った。 |
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小屋の10m あまり先に左のような湿原があり、その手前の溝を水が流れていた。 流れが緩やかで底にゴミが溜まっているため、それを巻き上げないよう注意が必要だが、水量は豊富ですぐにバケツ一杯の水を汲めた。 汲んできた水でコーヒを淹れて飲み、落ち着いた所であらためて湿原に出てみた。 尾根に囲まれた広広した湿原で色々な花が綺麗だった。 |
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小屋に戻り、こんな綺麗な景色と居心地の良い小屋を独り占めできるとはなんと幸せな事かと思いながらお茶を飲んだり本を読んだりしていたら年寄りの単独行者が入ってきた。 このあたりをホームグラウンドにしている、地元雫石の人で、チョッと言葉が分かりにくいが純朴な人柄に馬が合った。 ボツボツ話をしていたら、今日は大きなパーティが入っており、大深山山荘でその片割れに遭ったと言う話が出てきた。 |
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土曜日ではあるが、こんな山奥の小屋でまさかそんな大パーティと同宿するとは全く予想していなかった。 恐る恐る待っていると日が傾きはじめた頃パーティが到着した。 20人を越す熟年パーティだったが、もっとも恐れていた何とか旅行会のパックツアーではなく、"準地元" の鹿角市のハイキングクラブだったので幾らか安心した。 メンバーの半分、10人ほどは女性で2階に上がった。 一階は男部屋になり、全部で12、3人が寝る事になったので、寝床や荷物を片寄せて場所を空けた。 マナーも心配したほどではなかったが、秋田県自然保護員の名札をつけた男女が随いていたにしてはご粗末なところもあった。 8時を過ぎても酒を飲み、歌い続けようとしたので、あなた方が連れてきた人達の中にも一人や二人、疲れている人がいる筈だ。 その人達がよく休めるよう、気を使ったらどうか、と苦言を呈し、静かにして貰った。 まわりの状態と関わりなく十分な休息を取るべく、睡眠薬を使って熟睡した。 |
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☆おわりに 終日好天に恵まれ、静かな奥山を楽しく歩いたが週末とは言え八瀬森の小屋で思いも掛けない大パーティに出遭ったのは驚きだった。 |
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