乙女峠-金時山-金時神社-箱根 (2006.3.16-17)


☆期日/山行形式:
2006.3.16-17 単独&一泊(グループ懇親)

☆地形図(2万5千分1): 裾野(静岡1号-2)、箱根(横須賀13号-4)

☆まえがき
    シニア歴史散策グループの宿泊例会が箱根で行われることになった。
メインの歴史散策は二日目で、初日は夕方からの懇親会に間に合うように行けばよい。
ゴルフ好きな何人かは付近のコースに行くようだったが、"山屋" の端くれとしてはこの機会を利用してひと山登って行こうと考えた。
箱根の山は、中央火口丘の神山・駒ヶ岳とまわりを取り巻く外輪山と、あらかた歩き尽くしているのだが、乙女峠から長尾山を経て金時山までの2Km ほどの尾根筋が未踏になっている。

  はじめ、御殿場からアプローチしたいと思ったのだが交通の便が悪くてうまいプランが組たたらなかった。
悪天候に遭った場合の代換プランなども考慮し、箱根湯本からバスで仙石(650)へアプローチ、乙女口(735)から峠(1005)に上がることにした。
峠から長尾山(1145)を経て金時山(1212.5)まで約1時間だ。
下山路もこれまで歩いたことがない、金時宿り石(840)、奥の院(800)から金時神社(725)ルートを選んでみた。
もし、天気が悪くて山は無理、と判断した時は、仙石原にある幾つかの博物館を見て回ることにすればよい。

  実際、二日目は尻上りの好天に恵まれたが山に登った日は天気が悪かった。
仙石バス停から歩き出したとき、神山頂上部はすでに雲の中。
こちらの登行に呼応するように雲高が下がり、風も強まってきて頂上付近は荒れ模様、下山の途中からは雨にも降られたが一応、計画通りには歩け、この山域の数少ない宿題を減らす事はできた。

  歴史散策ツアーの翌日は尻上がりの天気に恵まれた。
お蔭で、楽しい歴史散策ツアーができただけでなく、恩賜公園の洋館ベランダから芦ノ湖越しの冨士、小田原石垣山一夜城址からの丹沢など、素晴らしい山岳展望を楽むことができた。

小田原一夜城跡から望む丹沢   
(クリックで拡大します)

☆行動記録とルートの状況


3月16日
<タイムレコード>

    宮崎台[7:51]=中央林間=相模大野=[9:45]箱根湯本[10:07]=(バス)=[10:30]仙石(10:30)-乙女口(10:55)-乙女峠(11:55/12:00)−長尾山(12:20)−金時山(13:00/30)-分岐(13:45)-金時宿り石(14:05/10)-奥の院/林道(14:17)-金時神社(14:25/35)-金時神社入口(14:40)-(14:55)仙石バス停[15:01]=[15:08]姥子温泉入口-仙石原温泉 IHI箱根クラブ{懇親会/宿泊}

◆ 午後3時から5時までに宿舎にチェックインするよう幹事から指示されていた。
行動時間とアプローチに必要な時間から逆算して家を出た。

  御殿場側が不便なのとは対照的に、小田急箱根湯本駅からのアプローチは至極便利で、仙石バス停から乙女峠入口まで30分ほど車道歩きをする積りにさえなれば平日でも毎時4本もの便がある。

  仙石から矢倉沢峠入口を過ぎ、さらに金時神社入口から10分程進んだ所に乙女峠への登り口があった。
車道の脇にちょっとした広場があり、石碑と石地蔵、指導標が立っている。
観光兼用でローカット登山靴を履いて来たが雨に遭うことも予想されたのでショートスパッツで足拵えを固めた。

  桧林の中の屈曲している道から登りが始まった。
私有地で地主との問題があるようで、あちこちにロープが張られ、道筋が不自然になっている。
  ひと登りして遠回りしてきた車道が接近した所で自然林に出た。
大石の多いゴーロ状の沢溝の登りになった。
高度が上がると所々で仙石原方面が見えた。
次第に雲高が下がり、大気が濁って来た。

  沢溝が尽き、山腹にジグザグを描いて高度を上げるようになると間もなく乙女峠に着いた。
茶屋の中では物音がしていたが入口の戸は閉ざされ、ヒッソリしていた。
  一段上がった所にある野外ベンチで休憩した。
天気が悪くて展望はパッとしない。

  金時山に向う道は良く踏まれていたがぬかり気味だった。
靴底はビブラムだがネバ土がゴムの溝に詰まって何時ツルリとなるか分からない。

  登るにつれて次第に風が強く、空が暗く、やや荒れ模様になって来た。
長尾山は広広した草原だった。
好天なら格好の休み場になる所だがいつ雨が降ってきてもおかしくない雰囲気のため休む気にもなれず、チョッと立ち止まっただけで通過した。

  長尾山からの下りには僅かながら残雪があった。(左)

鞍部付近から尾根が岩っぽくなり、所々に鎖場が出てきた。
注意喚起の看板が立ち、この山は昔、"猪鼻岳" と呼ばれていた険阻な山であるから、慎重に行動するよう呼びかけていた。

  頂上手前の1150m 圏ピークの付近で若い女性ハイカーと出遭った。
"生憎の天気ですね" と言いながらすれ違う。
そのすぐあとから、熟年女性が歩いてきた。

  頂上付近の天気は芳しくないようで、2人ともウインドブレーカを着ていた。

  雲の層に入ってまわりが霧になり、現在位置の判断が難しくなっていたが時間的にソロソロか、と思いはじめた頃、突然、"金時山" の巨大な標柱が見えてきた。(下左)
  金時茶屋は入口の戸が閉まっていたが営業はしていて、中では年寄りカップルと、単独の熟年男が休んでいた。
   登頂回数の多い人の名札が天井から下がっていた。
筆頭は地元箱根の女性で2300回。
凄いものだ。
あちこちの山に気が散ってまれにしか来ず、今度で2回目かな3度目かな、などと言っている流れ者とはまるで違う。

  特製の味噌汁を注文し、朝の食べ残しの海苔巻寿司を食べているうちにほかの客は出て行き、ひとりになった。
食休みをしながら "金時オバァちゃん" と話した。
  暫く話していたが、外の荒れ模様は募る一方だ。
雨になるのは時間の問題のような気がして来たので早めに下山しようと腰を上げた。

  矢倉沢峠方面への下降路は傾斜が急だ。
通る人の数が多いせいか、溝状に深く抉れていて、乙女峠道より歩きにくい。
ただ風蔭になっていて風当たりが弱く、まわりが静かなのはありがたい。

小屋を出て約15分で金時神社下降路の分岐点に着いた。
道標に従って元に戻るように鋭角的に折り返し、山腹のジグザグ道に入った。

  すぐに樹木の間に入り、ひと下りすると桧林の中に入った。
ビニール傘を持った単独熟年とすれ違ったあと、間もなく雨になった。
雨音は次第に繁くなって来たが桧林の葉が傘代わりになり、林の中まで届かない。

   金時の宿り石の近くで自然林に出ると途端に傘が欲しくなった。
宿り石の裾で小休止し、ザックから傘を引っ張り出した。

  宿り石から5分ほどで奥社入口を通過。
そのすぐ下で舗装車道を横切った。
その先は穏やかな自然林の中の道だ。



  傘をさし、ノンビリ歩いて金時神社に着いた。
賽銭を上げ、無事に山を歩かせて頂けた事への感謝を捧げた。
暫く神殿の階に腰を下ろして雨宿りをした。
芽萌き近く、色付いた林の枝に春の雨が穏やかに降り注いでいた。

  金時神社から仙石バス停まで、クールダウンを兼ねてユックリ歩いた。
仙石のバス停は野天だったが、バス停に着く前に一時的に雨が止み、傘を畳めたのはありがたかった。
   バス停に外人女性が来た。
御殿場に行くバスの乗り場はここか、と尋ねられ、どうもここではなさそうだと思ったが、正しい乗り場がどこにあるのか、良く分からない。
はっきりした返事ができなくて、グズグズしている所へ桃源台行きバスが来た。
降りてくる客の頭越しにドライバーに尋ねたら角の向こう側だと教えてくれた。

  女性に声を掛けてその事を教えたあとバスに乗り込んだら声を掛けられた。
驚いたことに、今夜のメンバーのひとりである、K氏が乗っていた。
彼はこのグループメンバーには数少ない山屋で、道了尊から山に入り、明神ヶ岳・明星ヶ岳を越して来たと言う。
こちらは笹と茅戸の展望稜線で、好天だったら素晴らしい展望のある頂稜だ。
"未踏問題" がなかったら多分自分もそちらに行っただろうに、と思った。

姥子温泉バス停に着くまでの間、お互いに似た物同士、考える事も似たか寄ったかだなぁと、話しあいながら笑った。


  この夜の宿舎は我が国機械工業のルーツとして知られている名門会社の保養所だった。
オーナ会社に相応しい設備の宿舎で、熱く白濁したかけ流しの温泉、年寄りには栄養過剰と思われるほどの会席料理と、全てが揃ったなかで、気の置けない仲間同士の楽しい宿りをした。



月17日
<タイムレコード>

   宿舎(9:30)=(車)=恩賜箱根公園→箱根関所跡・資料館→旧街道杉並木→成川美術館→芦の湖畔カフェテリア(昼食)→成川美術館=箱根神社=箱根旧街道(お玉が池、石畳)→甘酒茶屋=畑宿(寄木細工見学)=箱根湯本=石垣山一夜城跡=(16:40)小田原駅[16:50]=相模大野=中央林間=宮崎台

◆ この日はシニア・グループの "歴史散策" で箱根の史跡をあちこち見てまわった。
恩師公園から箱根関所跡、旧峠道、箱根神社、さらに成川美術館で冨士の墨絵などの奥村土牛展など鑑賞。
山屋とは異なる視点/知識によるツアープランは興味深く、有益だった。

  もしこのグループに参加していなかったら、下のパノラマ写真のような素晴らしい展望地点の存在を知らないで終わったかもしれない。
箱根の山の最大の魅力は、頂稜から真近かに眺める富士山の迫力ある姿なのだが、芦ノ湖が作り出す景色の奥行き焦点に立つ冨士山は特別だと思った。
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箱根恩賜公園洋館ベランダの冨士ビュー    
(クリックすると拡大します)


  お玉が池から甘酒茶屋、畑宿の寄木細工などを見ながら湯本に下ったあと、最後に立ち寄った石垣山の一夜城址公園では、丹沢や湘南・三浦方面への展望が素晴らしかった。(冒頭パノラマ)



☆おわりに
    一日違いで金時山頂上からの富士山を拝めなかったのは残念だったが残り僅かとなった箱根周辺の未踏部トレースができたのは良かった。
この山域で残っているめぼしい未踏部は、双子山だ。
ここは、普段立ち入り禁止になっていて、頂上に上がれない。
年に一度、箱根町役場主催で行われる花見会に参加する以外、方法がなさそうだ。
その機会を狙うことにしよう。

それにしても小田原攻めの一夜城で知られた石垣山からの丹沢や湘南・三浦方面への展望も素晴らしかった。
同様の山麓ハイクとしては、塔の峰から小田原市街外縁にかけての里山歩きが残っている。
寒い時期の低山歩きのリストに加えておいても良さそうに思える。