三浦半島、森戸川二俣-乳頭山-沼間坂上(2005.2.14)


☆期日/山行形式:
2005.2.14 [太陽=6:29−17:22; 月=5.6] 単独 日帰り
☆地形図(2万5千分1): 横須賀(横須賀1号-3、5号-1)、鎌倉(横須賀5号-3)
☆まえがき
        先週、三浦半島の脊梁山地の中央部付近を歩き、不十分ながらこの山域のイメージがつかめたので今度は、このあたりの尾根ルートでは最もバリエーション的要素が強い部分をトレースしてみることにした。
  計画した行程は、JR逗子=(バス)=長柄橋(13)-森戸川ゲート(30)-ダム(45)-二俣(65)-"連絡尾根"-森戸川南尾根(別名 外尾根 175)-送電線鉄塔ピーク(175)-乳頭山(210)-二子山分岐(140)-沼間坂上バス停(75)-東逗子駅(20)だった。
山行日は、前回の後始末と空模様との兼ね合いで、三連休明けの月曜日になった。

  もし、コンディションが良かったら、さらに鷹取山まで足を伸ばし、十州望/神武寺を廻って東逗子に下山しようとも考えたが、アプローチと山中と、二度もルートミスをやらかして時間と気力を失い、沼間坂上から東逗子に出て終わった。

乳頭山頂上の展望。 真近かに横横道と横須賀港、左手遠くには横浜みなとみらいのビル群
☆行動記録とルートの状況
<タイムレコード>
    宮崎台[6:57]=あざみ野=横浜=[8:27]JR逗子駅[8:32]=(バス)=[8:38]長柄橋(迷ってタイムロス/9:00)-森戸川ゲート(9:20)-堰堤(9:45/10:00)-二俣(10:05)-森戸川南尾根(10:25)-桜の大木のある159m 峰(10:45/50)-送電線鉄塔(11:15)-33号鉄塔が立つ213m 峰(11:30/35)-乳頭山(11:45/55)-中尾根入口(12:03/中尾根に迷い込む/12:18)-田浦梅園下降点(12:20)-二子山分岐(12:40)-沼間出口(13:10)-沼間坂上バス停(13:15/20)-(13:45)東逗子駅[14:14]=横浜=あざみ野=宮崎台

山は低くて小さいし、もう何度も行っているのだからと、高を括ってバス停の確認を怠ったのがもとで、出だしから迷い歩く破目となった。
  長柄交差点でバスを降りて逗葉新道に沿って東に進み、大山集落から森戸川谷に入らなければならないのに、ひとつ先の長柄橋まで行ってしまっただけでなく、さらにその先に向って歩いてしまうという、二重のミスを犯した。
谷の入口が見付からないままに進んで行ったら、目の前に仙元山の尾根が迫ってきて、ようやくご粗末なミスを犯していたことに気が着き、回れ右をした。

  通勤ラッシュの車が走り廻っている道路に沿って長柄交差点まで戻り、正しい方向に歩き出した時には30分ほども時間をロスしていた。

  逗葉新道から外れ、大山集落に入ると急に静かになり、沿道の風景も見覚えのあるものとなった。  民家の庭では梅が咲き、春の兆しが感じられた。

  森戸川谷入口のゲートに、"工事中につき立ち入り禁止"、と記した看板が立っているのでどうしたのだろうかと、不審に思いながら進んで行ったら崩れた林道の路肩に石垣を積んで直していた。
そこを過ぎると大木が倒れて林道に被さっていたり、山崩れの土砂が押し出していたりする所が次々に現われた。

  昨年数多くの台風が襲来した。
その時の出水と強風によってこのように酷い被害を蒙ったのだろう。
林道としてはかなり破壊された形だが登山ルートとしては別に危険と言うほどの所はない。

  途中にある砂防堰堤の脇で一服しながら軽い食事をした。
  二俣へはそこから10分程で着いた。
二子山の入口を過ぎた広場の右奥に立っている "連絡尾根" と記した標柱の脇から尾根に取り付く。
  登りはじめは藪っぽく、急峻な痩せ尾根で、いかにもバリエーションぽい雰囲気だが良く踏まれていてほとんど登山道といってよいくらいになっている。
  ひと登りした所で振り返ると背後真近かに二子山が見えた(左)。
  小さなコブを越すと傾斜が緩み、その先の小ピークで右の小尾根を登ってきた踏跡をあわせる。
  標柱が立っているので、その標示に注意すれば問題ないだろうが、降りてきたときにはここで直角に右折しないと二俣に行けず、林道に降りてしまう。
  このピークからひと登りで通称外尾根あるいは、逗葉アルプスと呼ばれている森戸川南山稜の "縦走路" に突き当たる。
  合流点には左のように、右へ行けば仙元山方面、左に進めば畠山乳頭山方面、と記した手作り標柱が立っている。

  街中ではトラブッたがこの日のルート最初の関門は案外楽に手早く突破できて安心するとともに、鷹取山まで行けるかな、と言う考えが頭をよぎった。

  左に折れて尾根伝いを始めると、濃密な暖地林の中を忙しなく方向を変えながら小刻みに上下を繰り返しながら進んでゆくようになる。
位置と方向の確認が難しく、時折見える二子山と大楠山の方向で概略の位置を知るのみだ。
  藪が深いことと並んで枝道が多いのもこのルートの特徴で何もなかったら迷わずに歩きぬけるのはかなり難しいだろうと感じる程だったが要所に手作りの標柱が立てられているのと、丁寧に "通せんぼ" がしてあるお蔭で迷わずに歩くことができる。

  かなりの藪ルートなのだが途中に左のような桜の老木の並木があったりするのが面白い。

  畠山から乳頭山を繋ぐ主脈が近付いてきたあたりで、主脈越しに横須賀湾が見えた(左)。

  引き続き小さな上下を繰り返してゆくと送電線鉄塔のあるピークに登り着く。
鉄塔の下が草原になっていて良い休憩ポイントなのだが周りの樹木が邪魔になって眺めが良くない。

  ここから先は送電線巡視路になり、見違えるほど道がよくなる。
鉄塔下広場の先の下りは左のような金網の階段が続く。
  ここを下り切って森戸川谷最奥の谷窪を捲きながら左に回ってゆく。
右上のピークがこの一帯の最高峰で標高が213m だと言う。
捲き道が終わって尾根上に復帰した所に頂上への道があった。
  "ナントカとカントカは高い所が好き" の例えで、反射的に頂上への道に入った。
ひと登りで着いた頂上には "東京南線 1・2号線 No.33" と記したプレートが取り付いた送電線鉄塔が立っていた。
鉄塔の下は草原になっていて脇には市境界と思われる標石があったが周囲は濃密な笹薮で何も見えない。

  元の縦走路に戻る途中、林の枝越しに乳頭山らしい高みが見えた(左)。

下り切った鞍部の先で畠山への道を分け、すっかり快適になった道をどんどん進む。

  乳頭山は、道の右側の斜面を僅か上がった所に三角点標石があった。
まわりをセメントで固めてあるのが珍しかった。
悪戯を防ぐためだろうか?




  頂上の北寄りに一部樹木が刈り払われた所があって横須賀港への展望が得られた(下左)。

   朝から歩いてきたうちで最高の展望だ。
手軽な割に山っぽくて変化に富む面白いルートではあるが、折角良いロケーションにあるのに濃密な暖地林に視界を妨げられて展望が得られないのが唯一の欠点だなぁ、と感じていたのだが、この展望がその埋め合わせをしてくれた。

  今朝、森戸川谷に入って以来ここまで、誰にも会わずに来たが初めて人と出遭った。
田浦梅林からこのピークを往復する人は多いようだ。

  乳頭山>からの下りは結構急で、ここにも金網階段が設けられている。

  階段が尽きる所で道が二俣に分かれていたがそこでこの日二度目のルートミスをやらかした。
標柱に記された文字を注意深く読まずに直進したのだがこの道は所謂 "中尾根" ルートで、そのまま進んでゆくと森戸川谷に戻ってしまう。
2基目の鉄塔の先まで進んだ所で尾根筋が違っている事に気が着き、元に戻った。
  主脈縦走ルートは金網階段の下で右下に急降下し、二箇所のフィックスドロープのある露岩を下ってゆかなければならない。


  急降下が終わるとすぐの所が前回、田浦梅園から登ってきた道の合流点だった(左)。

  歩き出しのロスにも関わらず乳頭山まで非常に順調に来れたので鷹取山まで行けそうだと思ったのだが、2度目のミスで15分のタイムロスをし、気持ちも萎えた。
あとの楽しみという事もあるから今日は予定通り沼間坂上から東逗子に降りて帰ろうと決め、見覚えのある道をノンビリ歩く。

  濃密な杉林の中で送電線の下を通り抜けた所に二子山への分岐がある(左)。
前回と違って、右の道に入り、主脈縦走路を辿る。
  間もなく杉林の隙間から横横道が見え、その上を通り過ぎたことを確認。

  このあたりの尾根筋は "外尾根" と違って、里山として頻繁に人が出入りしているようで、次々に麓の集落への道が分岐している。
しかし、どの分岐点にも手作りの道標が立っていて迷う心配はない。

  杉の植林の多い尾根筋を進んでゆくと地形が緩んできてどこかの高原でも歩いているようなムードになる(左)。
  杉林の一部が伐採されている所に出た。
左手に折れて進むと、20m ほどの間隔でふたつの分岐点があり、両方の角に沼間方面へと記した道標が立っていた。
  手前側の柱にこちらが "良路" と記されていたのでそちらに入った。
すぐに左側が濃密な笹薮になったが、藪の裏側から伝わってくる車の走行音からインターチェンジのすぐ上を歩いていると推定した。
少し先に立つ送電線鉄塔の下で道が尽きたので50m ほど戻り、東に降りてゆくとすぐに舗装車道への出口に着いた。
   出口の脇の消火用水溜の囲いに "大山鷹取やまなみルート 大山コース" と記したプレートが取り付けてあった。
"大山" は登りはじめの所にあった集落の名でもあるが、どうも二子山と主脈の中間にあるピークを指しているようだ。

  車道の先の右手は横須賀水道田浦配水場の建物で、その左下をJR横須賀線の線路が通っていた。
300m ほども進むと沼間坂上バス停のある車道に出た。
  次に来る時のため鷹取山方面への入口の様子を見たあと、東逗子駅に向った。
山裾の集落の間を縫って行く道は古くからの住人の家が多いようで、山を背にした落ち着いた佇まいが良い感じだ。
途中の川縁の小公園のベンチで一息入れながら山支度を解いた。
駅前では楽しみにしていた "鴨セイロ" を食べ、二度もルートミスをした割には良い気分で家路に就いた。

☆おわりに
    前回歩いていて何となく足許が定まらない感じがあって、歳のせいなのかと思ったのだが、原因は別にあった。
三浦山行では久し振りに布のローカット山靴を履いている。
軽くて楽でピッチが上がり、早く歩けるのは良いのだが、履きなれた革の山靴に比べて足首のサポートが弱く不安定で、この事が違和感の元になっていた。
靴が軽いのも良し悪しで、ついついセカセカ歩いてしまい、ユックリ落ち着いて自然を味わう心境が途切れやすいのが気に入らない。
革靴のように面倒な手入れを必要としないというのは大きな長所だが、軽い事は長所でも欠点でもあるような気がする。