川崎市最高峰と多摩よこやまの道 (2005.1.11)
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☆期日/山行形式: 2005.1.11 単独 ミニハイク
☆地形図(2万5千分1): 武蔵府中(東京11号-1)
☆まえがき
横浜市の最高峰、大丸山に登ったら、川崎市の "最高峰"
がますます気に掛かるようになった。
インターネットで調べたら、麻生区黒川1643番地で標高148m だと言うことが分かった。
2万5千分1地形図を見ると、市域の北端西部が稲城市と町田市の間に短冊状に食い込み、多摩市に接している部分にささやか丘陵が連なっているが、その頂稜の東寄りに標高144.9m
の三角点を乗せた小ピークが見付かった。
そのすぐ西隣に、もう少し大ぶりな等高線のサークルがあるので、きっとそこが148m 地点であろうと判断した。
少しでも多くの地理情報を手に入れようとインターネットの中を探し回ったら、国土地理院の "2万5千分1地形図閲覧サービス"
が最新しく詳しい情報を提供しているようだった(下)。
これを見ると問題のピークの天辺に建物記号がある。
さらに、その南東100m ほどの地点には、"高塔" の記号が記されている。
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川崎市、最高峰探索ルート(クリックすると拡大します)。
登路では迷い歩いて遠回りとなったが緑線の道が最短ルートと思われる。
赤いT字は道標。
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"電子国土" 地図閲覧サービスの約1万5千分1の地形図+ランドマーク情報の方にも同様の建物と高塔が記されていて、山麓の鶴川街道から舗装車道が通じている事も分かった。
建物は一棟だけ孤立していて、かなり大きそうだから普通の民家ではなさそうだ。
状況によっては中に入れず、"登頂不能" という事態もありうると覚悟した。
最寄駅の小田急多摩線黒川駅から2Km 足らずで標高差も100m
に満たない。
山の北側に下れば永山駅まで1.5Km 強だ。
山歩きと言うほどのものではないが、上着は北風に備えてゴアテックス・パーカ、履物はビブラムソールのローカットシューズにした。
靴は町履きにも使っているものだが、このごろ流行りの布製登山靴より余程シッカリしていて、ちょっとした藪くらいなら軽く突破できる。
そのほかはいつも山で使っているクリヤフォルダーに入れた数葉の地図とデジカメ。
口に入れるものは、ポケットに入れた数個のハードキャンデーだけと言う "超軽装" だった。
至って目立たない平頂ピークを地形図の10m 間隔の等高線を頼りに探り当てるという結構面倒な作業だったのに、磁石で方角を確認する事さえやらなかった手抜きの報いで道を誤り、かなり遠回りをする事となった。
幸いな事に、地図に記入されていた "高塔" マークと、頂上付近を通っている送電線とのお蔭で、目的地を同定する事ができた。
何とか辿り着いた山の頂上は、何と、川崎市水道局の黒川高区配水池の管理棟が占領していた!
門と塀で厳重にガードされていたため、あと10m かそこらで最高点に到達不能という結果に終わった。
仕方がないのでその東側の、144.9m 三角点峰に行った。
そこは思い掛けなく、綺麗な園地として整備されていて、"多摩 よこやまの道"
と称するウオーキングトレイルが通っていた。
あとで分かったのは、このトレイルは2003年に整備されたばかりの新しいものだと言う事だった。
三角点峰から北東に向って約1.5Km ほど、市境稜線に沿った遊歩道を歩いて、小田急多摩線と京王帝都相模原線のトンネルが並んでいる上を通り過ぎると多摩東公園があり、その脇でトレイルが終わった。
陸上競技場スタジアムの前から、諏訪・永山地域の集合住宅街の間歩いて小田急永山駅まで行き、電車に乗って帰った。
ウッカリして腕時計を持たずに行くと言うミスをやらかし、タイムレコードも取れなかったが、概略を写真と地図で記し、物好きの参考に供したい。
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☆行動記録とルートの状況
小田急多摩線はあまり馴染みがない。
パソコンに相談し、宮崎台-溝の口-登戸-新百合ヶ丘-黒川、というルートで行くことにした。
駅に着いたら軽い食事でも思っていたのだが外に出て見たら何もない!
ただ、ビルの向こうの方に山らしい高みが見えていた。
歩き出しの雰囲気は横浜よりずっと良い。
昼抜きで歩くしかないかと、なかば覚悟して谷底の鶴川街道の方に向った。
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鶴川街道の交差点に面してコンビニがあった、お握りでもでも思って近付いてゆくとその後の家が蕎麦屋の看板を出していた。
"かごや" という由緒ありげな名だったが、出てきたきつね蕎麦は飛び切りの上物だった。
交差点を渡り、蕎麦屋の向い合わせより少し西に進んだ所で右手の谷戸道に入る。
尾根の端に "汁守神社" という大きくはないが良い感じの社があった。
この神社がこれから行く山と繋がっていることには気付く筈もなく、デジカメのシャッターボタンを一回押しただけで通り過ぎた。 |
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寒波が張り出し、風が冷たい日だが谷戸の中は日だまり、風除けになっていて穏やかだ。
山裾に散在している人家は揃って構えが立派だ。
長年住み付いている人達の住居なのだろう。
思い掛けなく変電所が近付いて、分かれ道の判断を誤り、一本西寄りの谷戸に入ってしまった事が分かった。
東側の山に上がると峠の上から "高塔" と思われる "携帯"
のアンテナが見えた。
これで目的地がほぼ確認できた。
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東隣の谷戸を詰めて行くと右手に曲がり登った所が "家庭菜園団地"
になっていた。
こちらとほぼ同輩のオジさん達が数名来ていて畑のあちこちで仕事をしている。
仕事を退いたあとの趣味と実益を兼ねた "遊び" として、楽しいだろうな、と思った。
谷戸から尾根に登ってゆこうとする所に風変わりな建物があった(左)。
柵に "川崎市水道局 谷ヶ原取水所" と記したプレートが取り付けてあった。
右手にひと登りで尾根に上がると黒川の方から上がってきている舗装車道に出た。
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目指す最高点は林のすぐ向う側だ。
喜び勇んで舗装道を登ってゆくと、なんと頑丈な門に突き当たった(左)。
門柱の表札には、"川崎市水道局 黒川高区取水池"
と刻んである。
テロ警戒中の看板が柵に取り付けてあったりしてとても入れそうもない。
塀沿いを歩けば最高点に行けるかとも思い、笹薮の中を歩いてみたがすぐに下りになり東側の浅いコルに降りてしまった。
コルのあたりは何となく人の手が入っている気配があり、道も通っている。 |
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尾根道なりに東隣の三角点峰に向かうと乗越道との十字路に "瓜生黒川往還"
と記した標柱が立っていた。
江戸から昭和初期に掛けての交易路で "汁守神社" で調整した汁物がここを越えて武蔵六所宮(現大国魂神社)の神前に運ばれていたこと、黒川とここの途中に "海道(=街道)" という地名が残されている事などの解説が添えられていた。
ひと登りで立った三角点峰は呆気ないほど奇麗に整地された小広場だった。
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歩いてきた方を振り返ると、雑木林の向うに登り損ねた最高点峰のなだらかな姿があった(左)。
雲が多くて分かり難いのだが、西から北にかけて、高尾・陣馬から奥多摩、奥武蔵方面の山なみが見えている。
視界の左端に見えた三角形の山がどこか、気になった。
あとで調べたら丹沢の大室山だったらしい。
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多摩南公園まで1.4Km と記した道標に導かれて東北方への尾根道を辿った。
奇麗に整備された遊歩道で、所々が擬似木と鎖の柵で守られている(左)。
時々人に遭う。
犬を連れた若いカップル、散歩の老人、山好きな感じの熟年男。
地元の人達には親しまれているようだ。
稜線の近くまで住宅地に開発されている点は大丸山ルートに似ているが、こちらは落葉樹林のため両側が透け透けな上にすぐ左下を通っている車道を走る車の音がうるさくて山の中にいる気分にはなれない。
10分ほど進んだ所に黒川側への視界が広がっている所があった。
左下でトンネルをでた線路が真っ直ぐ延び、赤いタワークレーンで建築中のビルの先に見えている黒川駅に繋がっている。
その左手では、京王線の線路がゴルフ練習場ケージの裏側へ回り込んでいる(下)。 |
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さらに5分ほど歩いた所にこのトレイルの地図を描いた看板が立っていた(文末参照)。
ここは、西に7Km ほど、唐木田駅付近まで繋がっているトレイルの東の端である事が分かった。
間もなく末端の道標が立っていて左に階段を下りると多摩南公園の東の端に着いた。
京王相模原線若葉台駅が最寄駅で、約15分ほどで行けるということだったが、あとが面倒そうなので徒歩25分と言う永山駅に向った。 |
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陸上競技場の前を通り過ぎ、立派な歩道橋で二組の複線線路の上を渡ると諏訪の住宅地の中に入る。
永山駅の方角は大体分かっているのだがどの道を歩いてゆけばよいのか良く分からない。
通りがかりの人に聞きながら進み、都民銀行の脇の階段を下りるとようやく駅への大通りだった。
駅前ビルは大きなショッピングセンターになっていてなんでも用が足せる。
トイレを使わせてもらい、暖房が効いた売場を歩き回って手足を温めたあと、電車に乗って往路を引き返した。
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☆おわりに
川崎市の水道施設が占領して立ち入り禁止になっていたため登頂にはあえなく失敗したが住んでいる町の最高点の確認はできた。
市の最高点に水道の配水池を置けば市内の何処へでも水が送れる訳だから、川崎市水道局がやった事は至って合理的なのだが、"高い所好きのバカ"
にしてみれば市内の一番高い所くらい取っといてくれたってよかったのに、とボヤキのひとつも言いたい気分だ。
なお、このあたりには歴史の古い道筋が多く、古東海道に纏わる "赤駒を山野に放し捕りかにて 多摩の横山徒歩ゆか遣らむ"
という万葉の歌が伝わっていたり、新選組の土方歳三が出稽古で通ったと言われている鎌倉裏街道などがあったりするという。
問題の最高地点は丸山城とも呼ばれ、古代東海道の物見や烽火台だったとも考えられていると言う。
"多摩よこやまの道ルート" は、まだ5Km ほどもの歩き残しがあるので、近日中に再訪してみたいと思っている。
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☆多摩丘陵よこやまの道のガイドマップ
下は、道端に立っていた看板のルートマップをデジカメで撮影し、パノラマ合成ソフトで繋いで複製したものである。
拡大するとボロが出て、どのあたりで繋がっているかが分かる程度にしかならないので、オリジナル・マップが閲覧できる場所を求めて、数度のトライアルを繰り返した結果、独立行政法人
都市再生機構 東日本支社多摩事業本部のサイトが見付かった。
下の図にはそのオリジナルマップへのリンクを仕込んであり、図上でクリックすると閲覧・印刷ができる。
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"多摩 よこやまの道" の地図看板(クリックで原図を表示します)
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ただ、どうも解像度が不足気味でぼやけているのが気になるので、何とかして鮮鋭なオリジナル・マップを手に入れたいと思い、判明した電話番号に問い合わせてみたら、有償配布をしていて、120円分の郵便切手を送れば一部送ってくれると言う回答が得られた。
3部なら200円と言うことだったので早速送金し、来週にも手元に届くのを楽しみに待っている。
下は、物好きの向きのご参考のためのコンタクトアドレスなどである。
"多摩の自然とまちづくりの会篇、多摩のよこやま散策マップ" 入手先
〒206-0024 東京都多摩市諏訪二丁目1741番地
独立行政法人 都市再生機構 東日本支社多摩事業本部
よこやまの道 係
TEL: 042(373)8107
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