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◆発端はデジタル一眼レフ 以前から狙いを付けていた、オリンパス製 E-330 デジタル一眼レフカメラを手に入れました。 次期モデルの発売が真近かとなり、通販ショップに大幅なディスカウントが出たからです。 メカマニアの心を揺さぶるギミックなカメラを作るオリンパス社の遺伝子を正しく受け継いでいる製品シリーズに属し、色々とユニークな所がありますが、とりわけ惹かれたのは、上90°/下45°可動式のフルタイム液晶モニターでした。 これはほかにはない変わったデザインで、一眼レフなのにコンパクトデジカメのような使い方をすることもできます。 これまで使ってきたキャノン製コンパクトデジカメではピンぼけが多かった山の花の接写がうまくできるようになるでしょう。 また、一眼レフの特徴として、偏光フィルターが使いやすため、山岳展望の撮影でコントラストを高めるのが容易になります。 |
◆RAW 現像の問題 このカメラは、"高級デジカメ" の端くれですから RAW 画像データの保存ができます。 JPG+RAW モードで撮影画像を保存すると、一齣あたり20Mbyte 程もの容量になりますが、非常に自由度の高いリタッチが可能となり、明暗/色調/コントラストなどを自在に調整できます。 RAW 現像は、左のようにバンドルソフトの Olympus Master(追補参照) を使って行うことができましたが、リタッチ機能がやや貧弱なように思いました。 オリンパスからは有償アップグレードが提供されているので本式に使うにはそれを利用すべきなのでしょうが、その前に Adobe Photoshop Elements ではどうなるか、やってみようと思いました。 日常ワークステーションとして使っているPCは Windows 2000pro のため、PE3 が入っていました。 |
2年あまり前に V4 アップグレード権付きのPE3 をインストールしたまま、放ってあったものですが、このバージョンから RAW 現像機能が導入されていました。 ただ、そのままではこの処理を受け持つ Camera RAW プラグインが古過ぎて、あとから発売された E-330 のデータを認識できません。 アップデータが提供されていれば何とかなると思ったので、Adobe のサイトを探し回ってみたら、PE3 用で最新の Camera RAW V3.6 が見付かりました。 早速それをダウンロード、インストールしたら左のように、なかなか快適に操作できるRAW 現像処理ウインドウが表示されました。 最新版の PE5 を使っているパソコン仲間に聞いたところでは、Camera RAW のバージョンは V3.5 で、まったく同じウインドウが表示され、トーンカーブ機能がないところも同じだそうです。 早速、味見を行い、RAW 現像の自由度の高さは体験できたのですが、ふたつ気に入らない所がでてきました。 |
まず、カラーヒストグラムはあるのに、トーンカーブがないため、細かい "メリハリの調節" が十分にやれません。 もうひとつ、dng という Adobe Degital Nega 形式でしか保存してくれないため、一般的な JPG に変換するには写真整理モードで "取り込み" を行い、"別名で保存" で jpg 出力すると言う回りくどい手続きを踏まなければなりません。 このあたりはパソコンに不慣れな "カメラマン" が間違っても元画像データを破壊したりしないようになど、さまざまな事を熟慮して構築したスキームなのでしょうが、手馴れた操作環境で手取り早く仕事を片付けたがる擦れっ枯らしにとってはイライラのもとにしかなりません。 購入直後の味見で、立ち上がりの魯鈍さと、型にはまった手続きを否応なしに押し付ける "米国流厚かましさ" とが気に障り、Photoshop は好みに合わない、なるべく使わないようにしよう、と決めた理由でした。 何とか別の処理パスを見つけ出さねば、と思いました。 |
◆フリーソフトでも RAW 現像ができた! ならば日常使っている IrfanView や、ときたま使う XnView ではどうなのか?、と駄目もとで試してみたら、なぁーんと、どちらでも RAW 画像が読み出せたのです!(+) 下は IrfanView のスクリーンショットですが、サムネイルも通常表示も問題なく表示。 適宜修正を加えたあと JPG 形式で保存するのも問題ありません。 これで "dng" 問題回避の目処は立ったのですが、IrfanView はヒストグラム/トーンカーブ機能がないというのが泣き所です。 これがなくては満足なリタッチができません。 XnView の方にはヒストグラム機能が組み込まれているので大分状況が良く Photoshop Elements なみですが、やはりトーンカーブ機能がないのでは物足りません。 (+) GIMP、Photofiltre はそのままでは RAW の読み出しができませんでした。 後者はシェヤー版の PhotoFiltre Studio に代えれば RAW 現像ツールと、8BF プラグインアダプターが内蔵されているとのことです。 GIMP に対しては、あとに記すようにオープンソフトで "UFRaw" (=The Unidentified Flying Raw)という強力なツールが開発されている事が分かりました。 |
◆SmartCurve が見つかった! 問題点がトーンカーブひとつに絞られたので、これさえ何とかできれば、とあちこち探し回ってみたら、 http://free.pages.at/easyfilter/curves.html に "SmartCurve" という Adobe 8BF プラグインが出ているのを見つけました。 リリースノートには、Photoshop CS で提供されているのに Elements では使えないトーンカーブ機能を付加するために開発されたプラグインで、どのバージョンの Elements でも利用できると書いてあります。 手持ちの PE3/4 の改善ができることがわかりましたが、それ以上に重要だったのは、IrfanView も XnView も 8BF プラグインを装着できるように作られているため、これらも機能を拡張できる、ということでした。 これにより、日常使い慣れている高速画像ソフトで、フルスペックのヒストグラム/トーンカーブ修正が行えるようになる訳で、RAW 現像ができることとあわせ、きわめて高能率な処理が可能となります。 善は急げ、ということで早速やってみたら結果は上々。 IrafanView では下のようなリタッチ操作ウインドウが開けるようになりました。 Photoshop El のように、一旦 dng で保存したあと、あらためて読み込んで jpg に変換してからやおらリタッチ、という迂遠な手続きを踏まず、RAW 画像を開いたらいきなりヒストグラム/トーンカーブ/カラーバランスなど、さまざまな修正操作ができる所がとても気に入りました。 |
XnView も同様で、下のようなリタッチ操作ウインドウが開き、カーブ/ヒストグラムによるさまざまな修正操作が自由にできました。 |
Windows XP のデスクノートに入っている V4 と常用ワークステーションの V3 と、ふたつのバージョンの Photoshop Elements にもこのプラグインを導入して同じ補強を行いました。 下のスクリーンショットの左側のように、XnView なみの貧相なヒストグラムしか使えなかった PE3 に、右側の様に高機能なヒストグラム/トーンカーブ修正機能を持たせることができました。 |
ついでに PE3 をすこし動かし、あらためて味見のやり直しをしてみました。 2年振りのことです。 魯鈍でイライラのもとである、アルバムモードをスキップして起動し(*)、"jpg を対象とするリタッチツール" として動かしてみれば、立ち上がりこそもたつき気味ながら、そのあとは、きびきび動いてなかなか高機能。 ユーザフレンドリーで、結構なソフトだと感じました。 "引っ張り出し方" が込み入って厄介ながら、パノラマ合成機能もなかなか出来がよく、Canon の Photostich ではうまく繋がらなかった5駒の超パノラマが、チョッと手助けしてあげたただけで綺麗に繋がりました。 これまでほったらかしにしていて、小遣いの無駄遣いだったかなぁ、と悔やんでいたソフトですが、これからは時々使ってやろうと思っています。 [追補] (*) ランチャーの "Photoshop Elements 3.0.exe" ではなく、直接本体を(要すれば)処理対象ファイル名を指定して起動する。 コマンドラインで記せば、 "PhotoshopElementsEditor.exe %1" となる。 ここで %1 は処理の対象となる画像ファイル名。 なお、PE1-3 には、EarthBoundLight のサイトが "Earthbound Light effects for Photoshop Elements 1, 2 and 3"と言う、フリーの Style/Effects フィルターを提供しており、非常に応答性の良い非破壊カーブ操作環境を構築できる。 |
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出だしでは少々骨が折れた RAW イメージ処理でしたが、できてみれば PE3/4、IrfanView、XnView のどれでも問題なくやれることがわかり、かなり便利な状態となりました。 ならば、常用している Photofiltre や GIMP ではどうなんだろうか? と思って、あらためて調べてみた顛末を下記に。 ◆PhotoFiltre ではシェヤーバージョンへの乗換えが必要 PhotoFiltre では話が簡単で25euro のシェヤーバージョン: PhotoFiltre Studio に乗り換えれば、RAW イメージの読み込みと、Adobe 8BF フィルター組み込み機能とが提供される事が分かりました。 PhotoFiltre は、日頃便利に使っている愛用ソフトのひとつですが、それは、只なのに良くできていて立ち上がりが早く、小回りが利くからです。 VISTA との相性の悪さが気に懸かる所もあるので、今の時点で "投資" をするのは控え、このままにしておくことにしました。 |
◆GIMP には UFRaw というすごい代物がいた! GIMP はもともと、"カーブ/ヒストグラム" 機能を内蔵されていて SmartCurve を導入する必要はありませんが、そのままでは RAW イメージデータを読み込むことはできません。 代表的な GNU 系アプリケーションのひとつとして Photoshop CS の向こうを張っている GIMP が RAW だけに無力ということはあり得ません。 きっと何かあるに違いないと、"GIMP+RAW" をキーにググッて見たら "UFRaw" というのが引っ掛かり、糸口を手繰ってみたらすぐに SourceForge のホームサイト に辿りつきました。 サマリーを読んで分かったことは、 UFRaw はGNU 系のフリー RAW イメージプロセッサーで、GIMP プラグインとしても、独立プログラムとしても動作可能、 GIMP には8bit カラーのみの処理という制限があるが、UFRaw は16bit カラーの処理ができる、 きわめて高機能で、RAW イメージデータが持っている情報を余すことなく活用できる、 2007年3月6日に日本語化が行われたばかりである、 などでした。 ユーザーガイド セクション には、インド人のお婆ちゃんが歩いている画像の動作シミュレータが置いてあってインストールせずに各機能の味見ができます。 これはなかなかの物だよ、と思ったのでただちにダウンロード。 しばらく置いといてあとから、と思ったのですがどうも気になるので、手近なデスクノートにインストールしてみました。 GIMP がインストールされていたノート PC では、UFRaw はそれと同じプログラム フォルダーにインストールされましたが、単独起動のための空飛ぶ円盤型のアイコンが、デスクトップに設置されました。 起動時のウインドウは下のようで、Adobe Camera Raw には見えなかった Raw ヒストグラム がウインドウ左上に表示されています。 その下に、露出補正スケール、ホワイトバランス/基本/色/修正/ズーム/EXIF タブウインドウ、下辺に通常のヒストグラムが表示されています。 |
上は独立のプログラムとして単独に起動して RAW 画像を読み込んだ状態ですが、このプラグインによって機能が拡張された GIMP は、下のような感じで UFRaw ウインドウを開いて RAW画像を表示します。 補正/修正などの操作は、単独で起動した時とまったく同じです。 |
ごらんのように UFRaw はAdobe の Camera RAW とは格段の高機能 RAW 現像ツールで、何でもできすぎて覚えるのが大変、と思うくらいです。 僅かな味見ではとても全貌を書き出せませんが、2、3気がついたことを記すと下のようになります。 各調整パラメータ毎に、マニュアル、オート、取り消し、が備わっており、存分に弄る事ができる。 ホワイトバランスが、マニュアル・自動・カメラの3種から選べる。 ハイライト部のデータ扱いが優れていて、"銀塩フィルム風のソフトな飽和" オプションで EV の加減を行うと、上のスクリーンショットでも分かるように、PE3/4 では白トビ状になってしまう曇り空に青空色の部分が現われた。 処理が終わったあとの画像は、下の画面で分かるように、8/16bit の ppm、tiff (ZIP 圧縮もできる)、あるいは、jpg で保存できます。 ppm はあまり馴染みのないデータ形式ですが Portable Pixel Map と言われる形式です。 Irfanview で問題なくオープンでき、SmartCurve などによる修正ができました。 |
◆あとがき アレッ、なんでうまく行かないんだ?、という所から始まったRAW現像でしたが、最後は GNU系の凄いフリーソフトを見つけ出して目出度い決着となりました。 勿論 UFRaw にも欠けたところはあって、 Exif データの保存は特定メーカ機種と adobe dng に限定され、オリンパスは対象外。 ホワイトバランスもそのままでオリンパス製カメラの設定は取り込めず別の段取りが必要。 などの問題があるのですが、これほどの高機能には大満足です。 なおはじめに書いたように、UFRaw は GIMP が入っていない PC でも単独プログラムとして利用することができます。 ただし、その場合は GTK という "継ぎ手" が必要で、まず GTKのサイト に行ってその最新バージョンを入手し、あらかじめインストールしておかなければなりません。 以上 |
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[追補] ◆Olympus Master V2 冒頭で触れた Olympus Master は、V1.41/1.42 でしたが、Windows VISTA 対応バンドルソフトとして V2 がオリンパスのサポートサイトからダウンロードできるのを見つけました。 勿論、Windows 2000/XP でも使えるので早速ダウンロード、アップデートを行ってみました。 Raw 現像の機能はかなり強化され、UFRaw までは行かずとも PE3/4 を越えている事は明らかでした。 機能十分なら、純正ソフトにはハードの癖を余す所なく生かして間違いなしの好結果を齎す、という大きなメリットがあります。 やや温調で彩度の高い、綺麗過ぎるほどの画像ができやすいようですから、人物写真などに向いているでしょう。 高度の Raw 処理は UFRaw で、大概のは OMV2 でという使い分けをしてみようか、と思っています。 |
◆Exif データの保存 UFRaw の強力・多機能に惚れこんだのですがオリンパス RAW 画像の Exif 情報は処理後の jpg ファイルに渡してもらえないのが不都合です。 UFRaw のマニュアルには ExifTool by Phil Harvey から ExifTool を貰ってきて、 exiftool -TagsFromFile RAWFILE -x Orientation OUTPUTFILE という風なコマンド操作をすれば元の RAW ファイルの Exif データを処理後のファイルに転写できるとありました。 早速、どんなものだか見に行きました。 ExifTool は本来、 Perl ライブラリーですが、Windows と Mac OSX 用の実行形式バージョンも提供されています。 とりあえず Windows 用の exiftool-6.81.zip をダウンロードし、味見をしてみました。 ExifTool は、単純なツールですが、各種静止画像のみか、動画も含むAVや、MS Office、PDF など、あらゆるファイルのメタデータを読み出し/書き込みができる、とんでもない強力なツールだということが分かりました。 たとえば、Word Doc や Excel ブックなど、何時、誰が、何時間掛けて作成したのか一発で分かったりします。 Exif 情報以外にも色々と広範な利用価値のある、貴重なツールが手に入りました。 インストールと言うほどのこともなくセットアップを行い、プログラム、テスト用 RAW ファイル、および UFRaw 処理で生成した jpg ファイルそれぞれのフルパスをテキストエディターにコピー/ペーストして、下のごとく、呪文のようなコマンドを作成。 "C:\Program Files\UFRaw\exiftool.exe" -TagsFromFile F:\Shared\MyData\Temp\P3130001.ORF -x Orientaion F:\Shared\MyData\Temp\P3130001_by_Iview.jpg |
さらにこれを、"ファイル名を指定して実行" ウインドウにペーストして実行すると、10秒足らずで処理が終わりました。 上の例では P3130001.ORFの Exif 情報を P3130001_by_Iview.jpg に転写したのですが、安全への配慮か、元の jpg ファイルも P3130001_by_Iview.jpg_original と言うファイル名でバックアップ保存されました。 転送された情報は、このスクリーンショットのように、ExifTool 自身で見る事ができます。 第三者検証を兼ねて Irfanview で画像を表示し、"画像(I)"-"画像の情報(I)" コマンドで開いたボックス左下の "Exif 情報" ボタンからチェックし、正しい書き込みが行われた事が確認できました。 以上、ExifTool の導入により Exif 情報の維持ができるようになりました。 |
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