西上州 亀穴峠から小梨峠 (2016.3.22) |
|
☆期日/天気/山行形式: 2016年3月22日(晴) 市中ホテル2泊3日吉井南山探訪の2日目 単独行 ☆地形図(2万5千分1): 上野吉井(長野3号-2)) ☆まえがき 西上州吉井南山藪尾根ルート探訪の2日目には、上日野の矢掛から亀穴峠/新屋峠への偵察を行いました。 日野側ではかつて亀穴峠の下にあった開拓村への道が通じていたようですが、それが廃道化しているところへ中腹で行われている林業のために開かれた多数の林道が錯綜していました。 枝道に引きこまれては繰り返しルートを逸脱しましたが、大画面で地形図を表示できる Android タブレットの GPS を利用するナビゲーション・ツールのお蔭で、思ったより早く亀穴峠直下の小幡道と新屋道分岐の標識石柱に登り着くことができました。 天気がよく、体調も良かったので小梨峠までの藪尾根伝いを試みたところ、こちらも思ったより順調に捗り、数度の尻セードでパンツのおしりを泥だらけにしただけで、程よい時間に小梨峠に到達できることとなりました。 このルートは道標は全く設置されていないだけでなく、登り口から倒木や藪などの障害物が多く、道形が不明瞭だったり、尾根の曲がり具合が変則的だったりするため、経験者でないと危険ですが、既製の登山道をただ歩かされるのに飽きた経験者にとっては藪山歩きの醍醐味を味わえる好ルートです。 |
|
亀穴峠下開拓村あとの風景 (画像をクリックすると拡大) |
|
☆行動時間 高崎[7:54]=(八高線)=[8:08]群馬藤岡駅/駅前バス停[8:36]=(めぐるん上平線)=[9:15+2]矢掛(9:25)-亀穴峠入口(9:30)-林道亀穴線分岐(9:50/56)-歩道入口(10:29)-開拓集落跡を見下ろす560m圏の台地(11:10/20)-新屋小幡道分岐石標(11:38)-亀穴峠(11:46)-690m 峰(11:54)-新屋小幡道分岐石標(12:11/28)-新屋峠(12:33)-摩利支天分岐(12:51)-671m 峰(12:34/49)-638m 峰(14:18)-小梨峠(14:28/32)-稲荷神社(15:00)-養浩院(15:18/23)-(15:29)上鹿島バス停[15:47]=(めぐるん上平線)=[16:24]群馬藤岡[16:56]=(JR八高線)=[17:11]高崎{駅前ホテル泊}<標準> ☆ルートの概況 |
|
前日の国峰城址での足慣らしが思ったより順調にできました。 髙崎で泊まって朝早く起きてみたら、綺麗な「彼岸晴れ」になっていてシメシメということになりました。 いい気分で八高線に乗って藤岡駅に行き、上平行きバスに乗って日野谷に分け入りました。 矢掛バス停はどうと言うこともない所で、左のようにゴミ集積所に脇にポストが立っているだけでした。 |
|
亀穴峠へ上がる林道は左のような舗装路から始まります。 たまたま地元のおじさん2人が歩いてきたので様子を聞いてみたら、途中から道がはっきりしなくなるがたまに学生が来て歩いているから山に慣れているなら大丈夫と思うよ、言う返事でした。 |
|
林道に入ってひと登りすると舗装が終わり、砂利道になりました。 林業のために開かれた林道が右に左に分岐し、本道よりそちらのほうが道が良かったりするのでとかくそちらに引きこまれやすいのですが、頻繁に GPS 軌跡を確認し、ルートを外れていることが分かったら直ちに反転して元に戻るようにして、できるだけ忠実に地形図に描かれている破線路を追跡するよう、努めました。 |
|
谷奥で小尾根に上がり、二本の赤杭を見ながら右手へ曲がり登り上げたあとがルートファインディングの勘所だったように思います。 幅広の林道を進んでゆくと先刻迷い込んだ枝道の上にあったコンクリート堰堤を見下ろす所に出たのでこのまま進むと谷奥の小尾根を外してしまうリスクがあると思い、もとに戻りました。 尾根の背へ上がってゆくルートを探し回った結果、左のような大石の向かい側に人が登り降りしたような痕跡が見えました。 |
|
登り口に赤テープを付けた上で倒木を跨いで上がって行くとごく古い道形が見つかりました。 杉の小枝や落ち葉が積もって歩き難いのですが道形そのものは割りと明瞭で、ドラム缶が転がっていたり、電子レンジの・ようなものが捨ててあったり。 妙に人跡が濃い廃道でした。 |
|
道形が右手に向かって尾根の背を越えて行く所ではなんと車まで捨ててありました。 |
|
幅広になった道形を追ってゆくと急な左カーブがありました。 倒木の下を潜って尾根の左側へ少し進むとパッと前途が開けました。 地形図と GPS 軌跡とを照合すると破線路から西に外れている事が分かったので念のため最前の曲がり角まで戻り、カ-ブの先端から尾根の背に上がってみました。 道形が続いている事は確認できましたが鋸で短く切った丸太が積み重なるように並んでいて、歩きやすいような難いような所になっていました。 やがて傾斜が緩んで広々と丸みを帯びた尾根の背に上がりました。 |
|
左側が自然林に変わって視界が開け、前方に町界稜線が見えてきました。 左下はに自然林の穏やかに広がる凹地で、ページ冒頭のような景色になっています。 林の中にはスイセンか何かの草むらが見えたり、石垣のあとのような物が見えたり、なんとなく人里のような雰囲気が漂っています。 |
|
穏やかな景色を眺めながら、のんびり休憩したあと、植林と自然林の境の道を進みました。 左下は先程から見ている緩傾斜の凹地で、林の先に西御荷鉾と思われる山が見えます。 |
|
もと開拓村と思われる亀穴峠直下の凹地の風景 (画像をクリックすると拡大スクロール) |
|
植林と自然林の境目を通ってゆく道形は割とはっきりしていてかつてはよく踏まれていたことが窺われました。 |
|
やがて、四角い石油缶のようなものが転がっている所で道が左折しました。 |
|
西に向かって緩やかに高度を上げてゆく所はとても良い感じの道で、右上の町界稜線が徐々に近づいてきました。 |
|
亀穴峠付近から御荷鉾山 (画像をクリックすると拡大) |
左手には御荷鉾山が綺麗なスカイラインを描いているのが見えます。 |
亀穴峠・新屋峠分岐の石標 (画像をクリックすると拡大) |
やがて一辺20cm の正方形断面で高さ50cm ほどの石柱道標が立っている所に着きました。 隣り合うふたつの面にそれぞれ、「左 小幡 富岡道」と、「右 新屋天引道」という文字が刻んであります。 |
標石の前で道が左右に分かれ、Y字路になっていましたが、左に向かって直進してゆくと徐々に稜線が近づいてきて、やがてごく浅い鞍部に上がりました 亀穴峠は木立に囲まれた穏やかな鞍部ですが標識などは見当たらず、北面は下のパノラマ写真のように穏やかな落葉樹の林に覆われた斜面になっています。 |
|
亀穴峠北面 (画像をクリックすると拡大) |
|
尾根の背を東に向かって進んでゆくと小さなコブの天辺に登り着きました。 町界標識と思われる角柱が2本立っているこのコブは最新版(平成26年10月) の2万5千分1地形図では 690m の等高線に囲まれ、天引から登ってきた破線路はこの頂上に登り着くように描かれています。 天引側からの道形がを確認した上で亀穴峠に戻り、分岐点の道標石に戻りました。 |
|
標石の横に腰を下ろしてて飲み食いをしながら時計を見るとまだ12時を回ったばかりです。 天気、体調ともに良いので小梨峠への尾根伝いを行ってみることにしました。 石標から東に向かって僅か斜上した所が新屋峠で、ごく浅い切り通しになっている所を峠道が乗り越えています。 明瞭な道形が天引の方に下っているのを確認した上で切通の東側の尾根の背に上がりました。 |
|
尾根伝いの始めの部分は至って明瞭な尾根道で、一般ルートではないかと思ったほどでした。 |
|
ゆるやかに上下しながら進んでゆくと3つめのコブで尾根が直角に左折します。 尾根の背を僅かに外れてショートカットをして尾根の背に上がるとこれから辿ろうとしている稜線が左前方に見えてきました。 この部分の尾根筋はかなり珍しい形になっていてアーム長が約100m のクランク状になっています。 |
|
左折して100m あまり進んだ所に立っている二本の樹木に青色のビニールテープが取り付けてあり、この間から下って行くルートがあることを示しています。 入口の脇の樹の幹に釘止めされた小さな樹脂板に「小梨峠→」と印刷した紙が貼り付けてありましたがほとんど剥げかかっていましたから、間もなく吹き飛んで無くなってしまうでしょう。 |
|
非常に急で下りにくい短い急降下をなんとか通過すると平らな細尾根に乗りました。 道形は不明瞭になり、やや藪っぽくなりましたが、尾根筋自体は単純で迷いようもありません。 |
|
ところどころに岩っぽい場所があり、その裏側には急降下が待っていることが多かったと記憶していますが、崩落して崖になっているような所はなく、危険を感じるような所はありませんでした。 |
|
道形も定かでない藪尾根が続きましたが所々で左右に視界が得られ、南の谷向かいには御荷鉾から雨降山の山並みが見えたりします。 |
|
摩利支天南のクランク状曲がり角と小梨峠のちょうど中間のあたりにある671m 峰の天辺に上がるところには左のように赤杭の「ゲート」がありました。 左下の谷間は大判地で人家の屋根が見え、下から登ってきた踏み跡が合流します。 |
|
大判地南 671m 峰の北面 (画をクリックすると拡大) |
|
671m 峰の先の下降は要注意でした。 右手に下ってゆく尾根がルートっぽく見え、つい引きこまれてしまいましたが、こちらは日野の方に向かって派生している大きな尾根の付け根に当たる部分でした。 これを下ってゆくと日野の馬渡戸から田本の間のどこかに降り着いてしまいます。 左手へ下ってゆく尾根は傾斜がきつくて藪っぽく、あまりパッとしないのですが正解はこちらでした。 ひと下りして落ち着くとやや岩っぽい尾根の背に乗ります。 |
|
671m 峰から3つめのコブを越えると左前方が開け、谷向いに小梨山が見えました。 手前側には小梨峠北面の谷が広がり、谷の中で作業をしているエンジン音が聞こえ、向い側の尾根の上に白い車が止めてあるのが見えました。 あんな所にどうやって登ったのだろうと思うような所でしたが、作業できている人が乗ってきた車に違いありません。 |
|
右側が人工林になってきた所で木の枝にぶら下がっているものがあったので近寄って見たら狩猟の捕獲記録表でした。 記入してある文字から、静岡県森町の猟師がこの辺りまで来ていることが分かり、驚きました。 |
|
明るい灌木の尾根が終わって針葉樹に覆われたコブを越えるとその先に極端な急降下が待っていました。 針葉樹林の中には藪がなく、掴まれるものがないので仕方なく尻セードで下りました。 ここに来るまでに2度尻セードを使っていましたが、落ち葉の下の土が湿っている所があって、パンツのおしりがベトつくほど汚れてしまいました。 |
|
尻セードの急斜面が終わるとすぐ、石祠のある台地に降り着きました。 ここが昔から日野と吉井の交通路だったことの証拠で、前に小梨峠を通った時に確認していたものです。 |
|
祠の台地から僅か下ると小梨峠の切通しでした。 ここの峠道は峠両側の地形の関係で、かなり斜めに鞍部を乗り越えているのが珍しいと思いました。 峠の日野側へわずか進んだ所で左手に視界が開け、子王山から高山御岳、城峰山などを見ることができました。 |
|
小梨峠付近から城峰山 (画像をクリックすると拡大スクロール) |
|
峠からひと下りした道端にイノシシ罠注意の看板が立ててありました。 |
|
小梨峠から0.3Km、上鹿島バス停へ 2.0Km と記した看板を通過しました。 舗装路になったあと更にひと下りすると山畑の上の縁に出ました。 視界が開け、谷向いに連なる御荷鉾連峰から雨降山への尾根筋が綺麗でした。 |
|
上鹿島山畑の上から御荷鉾連峰 (画像をクリックすると拡大スクロール) |
|
山畑の端に稲荷神社の祠がありました。 このあたりの村の鎮守の社になっているようです。 |
|
養浩院の本堂が見えて来た所に関東ふれあいの道の案内看板が立っていました。 小梨峠を越え、牛伏山から多胡の古碑を経て上信電鉄馬庭駅まで行けるルートの絵地図が描かれています。 |
|
養浩院は山の中段の細長い平地に本堂と庫裏と山門を兼ねた鐘楼が詰め込まれた過密レイアウトでした。 |
|
養浩院から上日野 (クリックすると拡大) |
寺の庭は上日野の谷を縦観する最高の展望点でした。 本堂の脇には引き水の蛇口もあって、とても良い休憩ポイントです。 |
寺からわずか下ると県道で、左折して100m 程も進むと上鹿島のバス停ポストが立っています。 背後の山畑の上には、この日に歩いてきた山の尾根筋が綺麗に見えていました。 |
|
<ルートの詳細> ヤマレコの山行報告 |
|
ルートマップ GPX ダウンロード |
|
ページ先頭へ | |
☆おわりに 北面天引からのアプローチに失敗した亀穴峠へ南面日野側からトライして見たところ、林道の迷路に悩まされたものの無事に峠に到達できました。 コンディションが良かったのでに小梨峠への尾根伝いを試みたところ、こちらもうまくゆき、久し振りの藪尾根縦走を楽しみました。 |
|