榛名 摺墨岩-相馬山-臥牛山 (2014.9.16)


☆期日/天気/山行形式: 2014年9月16 前夜市中ホテル泊、日帰り単独行
☆地形図(2万5千分1): 伊香保(長野2号-1)、榛名湖(長野2号-3)
☆まえがき
    7月に行ったところ雨に降られたため満足に登れなかった榛名外輪山の摺墨岩から相馬山の登り直しに行きました。
今回も通り雨に遭いましたがソコソコの好天に恵まれ、摺墨岩、相馬山、臥牛山(ネウシヤマ)を巡って、それぞれの天辺の展望を楽しみました。

臥牛山頂上の展望    (画像をクリックすると拡大スクロール)
☆行動時間
    高崎駅西口[8:30]=(群馬バス)=[9:55]榛名湖(10:04)-松之沢峠入口(10:30)-摺墨岩(11:00/05)-摺墨峠(11:15/25)-相馬山取付(11:50/55)-相馬山(12:28/40)-相馬山取付(13:10/15)-ヤセオネ峠(13:38)-臥牛山入口(13:43)-臥牛山(13:58/14:01)-(14:14)ヤセオネ峠[14:17]=(群馬バス)=[14:28]伊香保案内所前[15:10]=(群馬バス)=[16:29]高崎[17:01+1:35遅延]=(高崎線上野行)=[ca19:45]大宮[18:56]=(埼京線)=[19:40]渋谷[19:49]=[20:17]宮崎台

☆ルートの概況
   榛名山は去年から足繁く通って通い慣れた山のひとつになっています。
いつものように前夜は高崎駅前のホテルに泊まり、翌朝8時30分に高崎駅西口ターミナルを出るバスに乗って山に向かいました。
榛名山の裾野は広く、その末端は高崎の町外れ近くまで迫っています。
1時間ほど走って裾野の中ほどまで進んだ所にある室田のバスターミナルで10分ほど休憩。
ドライバーが交代して走りだすとまもなく昔の登拝路の名残を示す鳥居の脇を通り過ぎて谷間に分け入り、杉林の中を登って行くようになります。
緩やかな裾野と山の本体の急斜面が接する所に榛名神社があり、歴史を感じさせる社家町の入口を過ぎると急カーブを繰り返して急坂を登り、登り切った所に天神峠があります。
峠から僅か下った所が榛名湖畔で湖畔道路と湖の間の広場にバスターミナルがあります。
やや雲が多いものの、さわやかな秋晴れで、湖水の向こう側に立ち並んでいる山々が綺麗でした。

榛名湖    (画像をクリックすると拡大)

  山支度を整えるためターミナル広場の縁にあるベンチに腰を下ろすと、正面に端正なスカイラインを描いている掃部ヶ岳が見えました。

  夏と秋の境目の中途半端な時期のせいか湖畔道路沿いの土産店街は閑散で、道路沿いの遊歩道歩きを楽しみました。
榛名富士登山ロープウエイ入口を通り過ぎて松之沢峠入口に差し掛かると行く手に相馬山が見えてきました。

  右折して峠に向かい、僅か坂を登っていった所に 「スルス峠、ヤセオネ峠」 と記した道標が立っていました。



  道標の脇から始まる長い丸太階段を登り上げると尾根の背に上がり、左折して僅か進むとまわりが開け、真ん中に榛名富士が見えました。
その左右に鬢櫛山、烏帽子岩が並んでいるのは榛名ならではの景色です。

松之沢峠付近の展望    (画像をクリックすると拡大スクロール) 


  尾根の背を進んでゆくと行く手に相馬山が見えてきました。

  さらにその先で尾根が左に回ってゆく所では谷向いの樹木の上に頭を出している摺墨(スルス)岩が見えました。
前にきたときは雨模様だったためこの小岩峰に登り損ねしまったのが心残りでしたが今度は登れそうです。

  摺墨岩は尾根の背を辿って行った道が突き当たった所からダイレクトに登ることもできるようです。
  踏跡が見えたので物は試しということで進入し、取り付き点を探ってみたのですが、いきなり外傾した岩棚に上がる必要があり、その先がどうなっているのか分かりません。
単独行の年寄りには不向きなルートと思ったので後退して登山道に戻り、別の登路を求めて先に進みました。

  岩峰の左裾にそって僅か下って行った所に右の斜面を登ってゆく踏み跡が見つかったのでそちらに入り、ザラザラしたガリー状の所を上ってみると大岩の隙間古い鉄梯子が架けられていました。

  梯子を登り上げるとふたつの岩の隙間に上がり、右手にひと登りしたところに、左の写真のような高みがありました。
天辺に不動明王と思われる石像が立っていて、背後に榛名富士。 左下は深い谷になっていてなかなかの眺めです。

  念願の摺墨岩の天辺の展望を楽しんだあと元の登山道に戻って進むとまもなく、左下の沼ノ原から笹の間を登ってきた道が合流しました。
  すぐ先が摺墨峠で、明るく開けた所に東屋があり、絶好の休み場になっていました。


  東屋の後ろに出てみるとすぐ近くにニョッキリ摺墨岩が立っていました。

  摺墨峠東屋から少し進んだ所に古びた鳥居(の残骸)があります。


  鳥居の先に長い石段の登りがありました。
段の幅が広くて段差もあるため足腰が衰えてきた短足の年寄りには一歩で一段上がるのは無理です。
二歩で一段だと足に掛かる負荷がアンバランスになるので時々足を入れ換えながら登り上げました。
 
  息を切らせて長い石段の登りから抜け出すと平らな尾根道になり、やがて相馬山登り口の鳥居が見えてきました。

  前回は雨の中でしたが今日は天気が良いから楽しく登れそう、と期待して近づいて行ったら、鳥居の根方に何やら掲示板のようなものが取り付けてありました。

   「落石で鉄ハシゴが破損し、危険だから立ち入らないでください」 と書いてあります。
 
  長年山登りをしてきたなかで、登山道でちょっとした問題が生じるとすぐに地元の役場が、「入っちゃダメ!」 という掲示を出して、事故が起きた時の責任を回避しようとするのを見てきました。
  山の中にはもっとキケンな場所がいくらでもあるのにおかしいよねぇ、と思うパターンです。

  今度もこのひとつのように思えたので、とても登れない状態になっていたら引き返せば良いのだから、と進んで行ってみました。

  鉄梯子は大きな落石が当たったらしく、左の写真のように末端付近が大きく折れ曲がり、浮き上がって取り付くのが難しくなっていました。


    うまく取り付きさえすれば登降するのに危険があるような状態ではなさそうに見えたので、梯子の末端に乗ってみたら、浮き上がっていたのが沈み込み問題なく登り降りできることが分かりました。

  慎重に鉄梯子を登り上げ、その上の急な露岩をひと登りするともうひとつの上段の鉄梯子が現れました。
こちらはどこも傷んでいる所がなく、手摺りもついていて問題なく通過しました。

  上段の鉄梯子の上には急な岩尾根が続き、一部に左のように大きなリングを連ねた鎖が取り付けてありました。
手で掴み易く、具合の良い鎖でしたが大分古くなっているようで、リング同士がこすれ合っている所が摩耗し、溝状になっていました。
まだ暫くは大丈夫なようですそのうちに千切れてしまうかも、と思いました。

  急登が終わると細尾根になりました。
やがて尾根の幅が広がって来ると鉄の鳥居が立っていました。

  鳥居の先は頂上に鎮座している黒髪神社の境内で、一転して穏やかな地形になりました
山の天辺には石像のモニュメントが林立し、いかにも山岳信仰の聖地、という雰囲気が漂っています。

  頂上の脇に立っている籠り堂の玄関口で休憩していると、突然地鳴りがして山が揺れ動きました。
後で分かったことですが、この地震は頂上から 50Km ほど東に寄った足利付近が震央で、北関東地域の鉄道にはなかなか大きな影響があった、ということでした。
  山の南面は急峻に切れ落ちた谷になっていてそちらから登ってくる旧登拝路の出口には小さな鉄鳥居が立っています。
かつて南谷の底にあったガラメキ温泉から登ってくる登拝路が賑わっていたそうですが、今は通る人はほとんどいないようで、入口には立ち入禁止のプレートが掲げられています。

磨墨峠の展望    (画像をクリックすると拡大スクロール)  

  ここは関東平野の西端部と西上州の山並みが一望の展望点だそうですがこの日は靄が濃くてよくは見えませんでした。

  展望をオカズに飲み食いをしたあと、登ってきた道を戻りました。
入口の鳥居を出た所で右折して北へ一段下がるとちょっとした広場があって、石祠と撞き鐘、等身大の石地蔵があります。

  この広場からヤセオネ峠へは、沼ノ原の東側の縁をなぞって行く穏やかな道になります。

  きれいな自然林の中をわずかに上下しながら進んでゆくとパラパラッと雨が降って降ってきました。

  榛名山は、本州の表側と裏側との気流がせめぎ合って不安定な上越国境山域と関東平野の気象の境目になっているようで、意外に天気が不安定で、これまでも何度か、突然アラレが降ってきたり、俄雨に遭ったりしています。

  傘を出そうかどうしようかと思いながら歩いているうちに雨は止みました。

笹の中を進んで、ヤセオネ峠の道を走る車の音が聞こえてくるようになった所に鉄鳥居のアーケードがありました。

  関東ふれあいの道の石標を見て大きな赤塗の鳥居を潜るとすぐ、ヤセオネ峠の車道に飛び出しました。
車道の北側に渡り、広い車止め広場に入った所で歩いてきた方を振り返るといま降りてきた山が立っていました。
 
  曲りなりに摺墨岩と相馬山の天辺の展望を眺めてこの日の主目的を達した訳ですが、そのあとのオマケのひとつとして予定していた臥牛山に向かいました。

  臥牛山の入口はヤセオネ峠車止め広場の外れに「榛名街道」 と墨書きされた標柱が立っている所です。


  林の中へ向かって延びてい草生した廃林道と思われる道に踏み込むと、左側に、「臥牛山 1232m 20分」 と記した標識が立っています。

  まもなく細い山道に変わり、ひと登りで尾根の背に上がりました。
藪っぽい所で峠道を走っている車の音が聞こえてくるものの回りはほとんど何も見えません。

  左折して尾根の背を進んでゆくと大岩に突き当たりました。

   岩の裾を左手に回り込み、ザラザラで足場の悪い溝状の所を登り上げて尾根の背に戻りました。

  ほっそりした藪尾根の背を進んでゆくとまた大岩に突き当たりました。

  左手に回りこんで棚状の所から灌木を掴んで段差の上に出れば頂上の一角で、立木に左のような山名を記した標識板が掲げられていました。
小さな高みながら眺めは最高で、ページ冒頭のような展望を楽しみました。



  誰もいない秘峰の展望を独り占めをしばらく楽しんだあと登ってきた道を戻りました。
ヤセオネ峠に戻ってバス停ポストの時刻表を見たら、あと2~3分で伊香保行きバスが来るタイミングでした。

  1時間に一本しかないバスにジャスト・イン・タイムなので、もうひとつのおまけとしていた 蛇ヶ岳は割愛し、伊香保に下山することにしました。
早い時間の下山を決めたこの判断が大正解だったことがあとで分かりました。

  ガラ空きのバスはわずか 15 分で伊香保に降り着きました。
30分弱の待ち合わせで水沢経由、高崎行バスに乗り継いで高崎駅に着いたのですが改札口のあたりの様子が少し変でした。
  駅員に尋ねてみたら、昼に発生した地震で北関東の鉄道網がトラブっていて、高崎線電車も大幅な遅延になっているという話です。

  かなり時間が掛かる乗り継ぎをして家に帰り着くこととなったのですが、下山が早かったおかげで、程々の時間に帰宅することができました。

☆ルートの詳細

  ヤマレコの記録

  Flickr の元画像スライドショー

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☆おわりに

   榛名外輪山の一般ルートでは割と岩っぽいピークである摺墨岩、相馬山、臥牛山を巡り、それぞれの天辺の展望を楽しみました。
相馬山頂上で出会った地震はかなり強く、地鳴りとともに山が揺れ、少々怖い思いをしたのですがこの程度の揺れでは山は何ともなく、自然の地形の強さを実感しました。
榛名山は、これまでの山行の繰り返しで、一般ルートの大部分をカバー。 まだ登っていないのは、水沢山、居鞍岳、蛇ヶ岳の三山だけととなりました。