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白沢-角落山-赤沢 (2003.6.6-7)
☆期日/山行形式: 2003.6.6-7 公共保養所泊、単独
☆地形図(2万5千分1): 浅間隠山(長野6号-1)、軽井沢(長野6号-2)、浅間山(長野6号-4)
4月23日、浅間隠山から下山する途中で見た角落山。 今回はスカイラインの左側を登って登頂し、右側を下降した。
☆まえがき
梅雨が例年よりちょっと遅れ、都合のよいタイミングで晴れ間が来るとの予報が出たので角落山に行く事にした。
4月下旬の奥上州横断山行で、山麓まで行きながら風邪で体調が悪くなったため中途下山し、角落山と鼻曲山に登り損ねた。 若い頃に登った事のある鼻曲山はともかく、烏川源流地帯に特異な姿でそそり立っている角落山が非常に気になる存在となっていた。
倉渕村最奥部にあって絶好の足場となる横須賀市民休養村はまゆう山荘に急遽電話を掛けて宿泊の予約をし、1泊2日の行程を組立てた。
計画のあらましは、1日目に高崎からバスで室田・権田経由、はまゆう山荘(830)まで入って宿泊。 二日目に白沢出合(845)から男坂ルートに入り、岩氷分岐(1150)を経て角落山(1393)に登頂。
下山は女坂ルートに入って、頂上西側のコル(1230)から林道終点(1085)へ下り、赤沢出合(880)を経てはまゆう山荘に戻るというものだった。
☆アルバム記録
6月6日
<タイムレコード>
宮崎台[10:01]=[10:23]渋谷[10:31]=[10:39]新宿[10:44]=[10:58]赤羽[11:25]=(快速)=[12:50]高崎[13:10]=(群馬バス\1120)=[14:27]権田車庫[14:27]=(村営バス\450)=[14:44]はまゆう山荘{\7700}
室田からタクシーを使えば日帰りも可能だと思ったが4月に泊って快適だったはまゆう山荘にまた泊まる事にした。
長野県軽井沢と境を接している群馬県最奥の倉渕村の山奥で、驚くほど大きく立派な設備であるにも関わらず山小屋並みの料金で泊まれる。
最寄りのバス停や鉄道駅までの送迎もやってくれるようだ。
たまたま翌日の午後に、ピアノリサイタルが開かれることになっていたため、出演する女流ピアニストがホールで練習していて、ショパン名曲のさわりのメドレーをタップリ聞かせて貰える言う思いがけない余録に恵まれた。
6月7日
<タイムレコード>
はまゆう山荘(8:15)-白沢出合(8:30)-R(9:10/15)-岩氷分岐(9:45)-R(9:55/10:00)ドドメキの頭(10:10)-角落山(10:45/50)-女坂分岐点(10:10)-2箇所の鎖場(10:15)-林道終点(10:35)-赤沢出合(12:15)-水場(12:30/55)-(13:00)はまゆう山荘[15:20]=(村営バス)=[15:37]権田[15:55]=(群馬バス)=[16:20]室田[16:30]=(群馬バス)=[17:12]高崎[17:27]=(快速)=[19:16]上野[19:25]=[19:31]三越前[19:36]=[20:21]宮崎台
山小屋ではないので特別に早めて貰った朝食が7時半からだった。 峻険ながら山が小さいお蔭で時間的に不都合は生じない。 ゆっくり食休みをし、不要なものを預けてサブザックで出発。
すぐ下の沢に掛かっている橋を渡って林道を15分歩くと白沢の出合だ(下左)。
難路ゆえ一般は先に進んで赤沢から女坂を登るよう記した道標が立っている(下右)。
白沢ルートはやや荒れ気味の谷を登って行くが踏跡は明瞭でルートファインディングに苦労はしなかった。 コの字形の鉄棒を打ち込んで作った階段で最後の堰堤を乗っ越したあとは小滝の続く沢になる(下左)。 沢登りの対象にしても面白そうな感じの谷だ。
滝の巻き道には少々キワドイ所もあるが危険というほどの所はなく、やがて営林署の黄色い看板の立っている所で谷を横切って左手の枝沢に入る。
踏跡は薄くなるが細い枝沢の底を真っ直ぐ登って行くだけで迷うことはない。 やがて谷の詰めになり、急な笹の斜面を強引に登り上げると尾根の上に乗る。
一転して穏やかな雰囲気の尾根道を進むとすぐに古い鉄製道標の立つ岩氷分岐に着く(上右)。 この辺りは絶好の休憩地点だ。 見上げると、覆い被さるように突っ立っている頂上が木の葉の隙間に見えていて圧迫される。 ふと気配を感じたので先の方を見ると笹薮の間にカモシカが立っていた。 好奇心の強い動物の様で、じっとこちらを見ていて動かない。 ちょっと待っててくれよと呟きながらデジカメを取り出して一齣写したらオートモードに設定されていたフラッシュが閃いたため、驚いて逃げて行った。
緩やかな尾根を進んで行くとたちまち傾斜が強まって来て最初の鎖場に着く。 谷窪の奥壁になっているガリーを横断するとすぐに第2の鎖場があり、階段状の岩場を登って小尾根を乗っ越す。
その先は極端に急な支稜を笹と潅木を頼りにして登り続けて行く。 一般ルートだったらロープが連続する位の難場が続き、ゆっくり休める場所もない。 かなり高い所まで上がったと感じられるようになった所に第3の鎖場があった。
第一歩のスタンスが遠いのを鎖に掴まって強引に登り、岩尾根に上がる。
さっき登って来た尾根が下の方に見えてかなりの高度感がある。 古い鎖とロープを手掛りに登って行った先にもう一本新しい鎖がある。 かれこれ20m 以上は登ったと思われる所で鎖が終わり、左手の潅木斜面に入る。
心なしか傾斜が緩んで来たかな、と思ったら尾根の上に出た。 足許に "ドドメキの頭"
と記した安中山岳会のプレートがある。 すぐに赤い鳥居が見えてきて、そこを潜ると角落山頂上の祠の前に出た(上)。
ミツバツツジが花盛りでよい雰囲気になっているのだが天気が芳しくなくて雲霧が漂い、楽しみにしていた展望は全く得られない。 週末だと言うのに全く人の気配がないのが不思議だ。
登高欲をそそる形を持ち、小さいながら手応えのある面白い山だと思うのだが、不便な所にあるせいなのだろうか?
祠の脇で小休止したあと裏側へまわり、赤沢ルートに入る。 やや急な露岩に鎖が張ってあったりしたが白沢ルートとは比べものにならない位穏やかだ。 最低鞍部まで下った所からやや登り加減に進んだ所に道標が立っていた。 剣が峰・霧積温泉方面へのルートから別れて赤沢への下降路に入る。
分岐点から5分ほどで沢窪を横切る所が崩壊していて鎖場が2箇所あるがここも言う程の事はない。
小沢のゴーロ状の所を下って行くと周りが杉林になりポンと言う感じで林道に飛び出した。
この頃はどこの山に行っても林道末端に1台や2台の車が停めてあるものだがここには1台もいない。
緊張から解き放たれてノンビリ砂利道を下って行く。 山の大きさの割には深くて広い谷で地形も複雑だ。
尾根を回り込んで行くと谷の奥に角落山が見えた。
頂上部には相変わらず雲霧が纏わりついている。
火山の兆候を示す崖の下を通ったり、枝沢を渡ったりしながら下り続けてようやく赤沢出合に着いた(下)。
白沢出合から延びて来た林道と合流するT字路の角には角落山への入口である事を示す道標が立っている(下)。
山には誰もいなかったが釣で谷に入っている人はいる様で、白沢口やその下手には2、3台の車が停めてあった。
橋を渡ればすぐにはまゆう山荘と言う所にある水場の脇にザックを下ろす。 二本のパイプから流れ出している水がとても美味しい。 午後のバスまでに3時間近くもの余裕がある。 山荘で風呂に入ってもまだ時間が余るほどだ。 流れの脇に腰を据えてパン、チーズ、林檎を食べる。 テルモスに詰めていたホットレモンを飲めるだけ飲んだあと余りを捨て、水場の水に汲み替える。 ミネラルウオータのペット瓶も中身を捨てて汲み替える。
はまゆう山荘に戻るとホールに沢山の椅子が並べられ、演奏会の準備ができていた。
3時から始まる演奏会のため日帰り入浴は2時で終了と言われたので急いで浴場に行く。
この風呂に前回入った時は風邪でバテバテになった身体の疲れがよく取れた。 今日は半日のアルバイトで方が付いて余裕たっぷりに楽しむ。 汗を流したあと余計な汗をかかぬ様、時計を見ながらゆっくりクーダウンをし、パッキングを纏める。
ピアノ演奏会は3時からで、バスは3時20分だから最初の一曲くらいは聞けるのではないかと期待してホール脇のベンチに腰を掛けていたが開演30分前を過ぎると急に人が増えて混雑して来たので外に出た。
間もなくバスが来た。 村営バスの時刻表には浅間隠山中腹のワラビ平まで行って帰って来る事になっているのだが客がないときは定刻までここで休憩して権田へ下る事になっているらしい。 4月に浅間隠山から下って来るのにワラビ平へ下るのを止め、二度上峠下へ廻ったのは正解だったようだ。
ドライバーはすぐに山の方に行ってしまったが暫くすると一握りの山蕗を持って戻って来た。 このバスもほかに客がなくて
"貸切" となった。 ドライバーと四方山話をしながら権田車庫に行く。 権田から室田へのバスも
"貸切" でスタートしたが途中で中年男が乗って来てようやく "乗合"
になった。
2時間近く掛かって高崎駅へ。 新幹線まで発着している繁華な駅とカモシカしかいない辺鄙な山とが路線バスで繋がっているのが不思議な気がした。
☆おわりに
今回、角落山に登った事でこのあたりの主な山の頂上をひと通り踏んだことになった。 一段落はした訳だが、一帯の濶葉樹林の様子から紅葉の時期はきっと奇麗になるに違いないと思った。
僅かながら剣が峰から鼻曲山までの稜線のトレースが残っているので秋の程良い時期を見はからって再訪したい。
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