東丹沢、高取山-華厳山-経ヶ岳 (2003.3.9)


☆期日/山行形式: 2003.3.9 単独 ミニ藪山 日帰り

☆2万5千分1地形図: 上溝(東京11号-4)、厚木(東京12号-3)


☆まえがき
    宮ヶ瀬湖周辺の藪山も、去年と今年の冬であらかたは歩いた形となったが経ヶ岳から南東に延びている尾根だけは以前から気になりながらもトレースしそこねていた。
2万5千分1地形図の "厚木" には華厳山、高取山と良い名前を持ったピークがふたつも並んでいるのにガイドブックの類にはまったく紹介されていない。 低い里山だから地形図を頼りに突っ込んでもトラブルことはあるまいと思って机上プランを組み立てていたが世の中は物好きな人に事欠かないようで、ハイキング誌にここをトレースした記録が載った。 2万5千分1地形図の "厚木" の上辺近くにある真弓地区の松石寺の付近からゴルフ場を通り抜けて支稜に取り付き、頂稜に達したあと高取山、華厳山を経て経ヶ岳、仏果山へ縦走したということである。
この山行の計画のあらましは、本厚木からのバスを源氏河原(105)で降りて歩き出し、真弓集落の松石寺(145)付近からゴルフ場奥まで行って高取山東稜に取付き、高取山(522.1)に登ったあと稜線を辿って華厳山(602)へ。 さらに用野越路の鞍部(475)を経て経ヶ岳(633)に登頂して半原越(485)に下り、リッチランド(265)を経て煤ヶ谷側の坂尻(155)に下山して本厚木駅にバスで戻ろうというものである。


☆詳細な記録
<タイムレコード>
    宮崎台=中央林間=相模大野=本厚木[8:00]=[8:30]源氏河原-山が見える畑の脇(8:50/9:00)-松石寺(9:15/迷/25)-ゴルフ場(9:30/迷/40)-尾根上の小平地(10:00/05)-稜線上の440m 峰(10:25/30)-高取山(10:50/55)-発句石-華厳山(11:18/30)-経ヶ岳(12:10/40)-半原越(12:55)-法論堂橋(13:15)-リッチランド(13:30)-(13:50)坂尻[14:02]=[14:50]本厚木=相模大野=中央林間=宮崎台

  本厚木駅前からのバスを源氏河原で下車し、10m 程戻った角を曲がって西に向う。 荻野川を渡った所にある十字路は斜向かいの道に入る。 ここには大厚木CCの看板がある。  低い前山を越して行くと畑があってその脇からはこれから登ろうとしている高取山と華厳山が大きく見える(下)。


 坂下の谷間にある真弓集落は落ち着いた感じの良い所だ。 集落の間を流れている小川の橋を渡った先に左下のような松石寺参道の入口がある。
ここを入って直進すると石灯篭が林立する立派な参道がある。 寺まで行ってしまったのは行き過ぎだったようで墓場のなかをうろついたあと右下の写真の分岐まで戻って左の砂利道に入った。
すぐにゴルフ場の中に入る。 ボールを当てられぬよう気を付けながらカート道を登ってゆく。 ゴルフ場の奥手まで進むと山が近くなってきて何処からでも取り付けそうな雰囲気になるのだが造成工事で地形が乱されていて判断が難しい。




一番奥のホールの中ほどから左下の沢に下り、ゴルフカート用の橋を渡った所に砂利の車道があった。 尾根裾を "く" の字に曲がって進むとすぐに車道の末端になるがその横手に山に入る踏跡が見付かった。 

高みを目指して檜林の中の薄い踏跡を拾って行くと明瞭な尾根の上に乗り、潅木林に入ってあたりが明るくなる。 尾根の傾斜が強まり、手近の潅木や木の根に掴まっていないとずり落ちそうになるが薮漕ぎでバテる最大要因の笹がないのには助かった。 傾斜は急だが尾根の背を忠実に辿っている限り、岩場や崩壊のような危険個所はない。
しばらく頑張っていると狭いが平坦な場所に出た。 ザックを降ろして小休止。 周りを山に囲まれた山中の別天地だ(左)。


この先もう一度傾斜が急になるがそこを抜けると視界が開けてきて稜線上の小ピークに登り着く(左)。
周りの様子から高取山の南東650m 程の所にある標高440m のピークと判断された(左)。 稜線上の踏跡はよく踏まれていてほとんど道といっても良いくらいになっている。
隣に高く見えている高取山に向う。 左下は採石場、右下はゴルフ場と麓一帯は手ひどく破壊されているが頂稜は潅木に被われ、穏やかな雰囲気が漂っている。
道端に文字を刻んだ石があってその脇に "発句石" と記した杭が打たれていた。 良く見ると俳句らしい字句が刻んであったがかすれていてよく読めなかった。

ひと登りし地形図の破線路と思われる踏跡が合流する所に上飯山まで行ける藪尾根ルートを示す小さな道標が地面すれすれに立ててあった。
緩やかな登りから高取山の頂上に着く。
小じんまりした頂上だが三等三角点の標石と立派な山名看板が立っている(左)。
道のりとしてはまだ半分も来ていないのだが取付の混乱を無事に切り抜け、前途の見通しが立ったのでホッとして気分のよい休憩をする。
ここから華厳山までの間も穏やかな稜線がつながっている。 やや広く平坦な頂上には同じような白塗りの金属製道標が立っていた。




先の方には深い鞍部を隔てて経ヶ岳が見えている。
華厳山の頂上からはこれまでとは打って変わった急降下になる。 最低鞍部は薄暗い檜林の中で、東麓の用野から登ってきた道が西麓の法論堂の方に下って行く所に脚立があって鹿柵を跨いでいる(左)。
最低鞍部から経ヶ岳へは鹿柵に沿った直登で、かなり手ごたえがあった。 急な所では鹿柵の鉄線も助けにして登り上げた。 やがて田代からの登路に出合う。 進入禁止の虎ロープを潜って道に出て、50m ほど左に行くと経ヶ岳頂上で、道標と野外ベンチとがある。



日曜日なので混んでいるかと思ったが熟年登山者が一人いただけで静かな物だった。 雲が少し出て時々冷たい風が吹きつける状態だったが大気はよく澄んで遠くまでクッキリと見えていた。 
美しい三角形を描いている大山の左手に相模湾が広がり大島と新島らしい島影が見えている。 大山の右手には塔ヶ岳から丹沢山を経て蛭ヶ岳に至る丹沢支脈の雪姿が奇麗だった(下)。





枯れ枝の間を透かして東の方を見ると相模原の市街の先に広がっている平野の果てに真っ白な日光の山々が並んでいた。
取り付きでは道に迷ったがアルバイトとしてはそれほどキツくなかったため胃袋の機嫌が良い。 景色をお菜に朝の残りの稲荷寿司と塩玉子を食べる。
食休みをしている所へ若者が一人、またひとり登って来たがどう言う物か休憩しようとはせずそのまま歩いて行った。
充分休んだあと下山を始める。
登って来たのと同様の急降下が続くが丁寧な階段になっている上に要所にロープが取り付けてあるので気楽だ。 下りの途中で単独の熟年二人と中年カップルに出遭った。 下り着いた半原越には2、3台の車が停めてあった。 ここまで車で上がってピストンする人達も多い様だ。
思ったより早く半原越に着いたので2時過ぎに坂尻を通るバスに間に合いそうになった。 ほとんど車の来ない車道歩きは呑気な物で、芽萌きの気配が漂う谷間の様子を眺めながら歩く。 
谷底にあるリッチランドには日帰り入浴600円と言う看板が出ていた。 タオルや着替えを持って来るのを忘れたので思い止まり、早く家に帰って風呂に入ろうと考える。 坂尻ではスパッツを脱いだりカメラを締まったりする時間の余裕があった。 宮ヶ瀬湖から来たバスは通路に立つ人がいるほどの大混雑だった。 この路線で座れなかったのは初めてのことだ。 道も混んでいて本厚木駅まで30分あまりの筈の所を50分近くも掛かった。



☆おわりに


(クリックで拡大します)
稜線まで上がったあとで地形図で破線が記入されているものよりもうひとつ南の支尾根を登り上げた事が分かった(ルート図の赤線)。
稜線上の合流点から見下ろした限りでは地形図の破線路は、明瞭な道形を留めていて現在でもルートとして利用できそうだ。
ゴルフ場の一番奥のホールの最も高い所から尾根の背に乗ればこの破線路(ルート図の青線)に入れるのではないかと思われる。
次の機会に高取山から上飯山の末端までトレースしてみたいのでその時にこの取付を確認しようと考えている。